pixivFANBOXを始めるとき、迷いやすいのが支援プランの金額です。
安くした方が参加してもらいやすそうですが、低価格だけでは支援額を伸ばしにくくなります。反対に、高額プランへ限定作品や豪華な特典を詰め込むと、その準備に追われて本来の制作時間が削られることがあります。
イラストレーター向けの公式例では「500円・1000円・2000円」という構成も紹介されています。重要なのは、2000円になったからといって500円プランの4倍の特典を用意する必要はないことです。
FANBOXは商品を月額販売するサービスというより、ファンがクリエイターの活動を継続的に支援する仕組みです。この前提で料金を組むと、長く続けやすいプランになります。
FANBOXの料金はまず500円を基準に考える
FANBOXでは100円から1万円まで自由に料金を設定できます。
その中で公式が最初の基準として示しているのが500円です。
FANBOX全体では、ひとりの支援者から受け取る1支援あたりの平均金額が約500円となっており、料金設定に迷った場合は500円プランから始めることが勧められています。
500円には、支援する側にとって参加しやすい価格でありながら、人数が増えればクリエイター側にも一定の収益になるというバランスがあります。
たとえばR-18コンテンツを投稿しないFANBOXでは、現在のサービス手数料は支援額の10%です。500円プランなら、サービス手数料を差し引いた金額は450円になります。R-18コンテンツを投稿する設定では手数料が12.9%です。
| 月額プラン | R-18なしの手数料差引後 | R-18ありの手数料差引後 |
|---|---|---|
| 500円 | 450円 | 436円 |
| 1,000円 | 900円 | 871円 |
| 1,500円 | 1,350円 | 1,307円 |
| 2,000円 | 1,800円 | 1,742円 |
500円の支援者が10人なら4,500円、50人なら2万2,500円、100人なら4万5,000円です。
FANBOXで収益を作る場合、最初から高額プランだけで大きな金額を狙うより、参加しやすい入口を作ったうえで、より強く支援したい人の受け皿も用意する方が組みやすくなります。
プランは1つから始めてもいい
「500円・1000円・2000円の3プランを最初から作らなければならない」ということではありません。
FANBOX公式も、初めて利用する段階では1プランで十分としています。そのうえで運用に慣れたら3つ程度へ増やす方法を案内しています
また、支援を多く集めているクリエイターには3プラン以上を設置している人が多く、複数プランを作ったクリエイターは全体の支援金額が増える傾向も案内されています。
そのため、始めたばかりなら500円だけでも問題ありません。
更新のペースや、支援者が何を楽しんでくれるのかが分かってから1000円、2000円を追加する方が、内容を決めやすい場合もあります。
イラストレーターなら500円・1000円・2000円がひとつの基準
FANBOX公式がイラストレーター向けに紹介しているプラン例は、次の構成です。
| プラン | 内容の考え方 |
|---|---|
| 500円 | 制作日誌、ラフ、制作過程、無料公開作品など |
| 1,000円 | FANBOX限定作品、特別な差分、追加コンテンツなど |
| 2,000円 | もっと支援したい人向け。内容は1,000円と同じでもよい |
この中で注目したいのが2000円プランです。
月額が高いからといって、1000円プランより豪華な作品を毎月追加する必要はありません。
FANBOX公式も、2000円プランを純粋に「もっと応援したい人向け」とし、内容を1000円プランと同じにする設計を紹介しています。
これはクリエイター側にとって重要です
500円ならラフを公開、1000円なら限定イラストを1枚、2000円ならさらに別の限定イラストを1枚、5000円なら毎月リクエスト受付……と特典を積み上げると、支援額が増えるほど仕事も増えます。
それでは支援を受けるために制作時間を使う状態になりかねません。
FANBOXの収益が増えたことで本来の漫画やイラストを描けなくなるなら、支援サービスを使う意味が薄れてしまいます。
高額プランは「豪華版」にしなくてもいい
FANBOXでは、追加特典のない支援用プランを作ることも認められています。
500円で限定投稿をすべて読めるようにして、1000円以上は追加特典なしの応援用にするといった設計も可能です。公式も、FANBOXを募金箱のように使う方法を案内しています。
たとえば、次のような構成です。
| 月額 | 内容 |
|---|---|
| 500円 | 支援者限定投稿を閲覧 |
| 1,000円 | 500円と同じ+もっと応援したい方向け |
| 2,000円 | 500円と同じ+さらに応援したい方向け |
一見すると「同じ内容なのに2000円を払う人がいるのか」と思うかもしれません。
FANBOXは購入する商品の価格を決めるサービスではありません。
作品を継続してほしい、活動を応援したいという理由で支援する人もいます
だからこそ、高額プランの価格を正当化するために特典を増やし続ける必要はありません。
もちろん、プラン説明で提供すると約束した内容は守る必要があります。何も追加しない応援用プランなら、そのことを最初から明記しておく方が分かりやすいでしょう。
漫画家なら500円・1000円・1500円という例も
漫画家向けには、FANBOX公式が「500円・1000円・1500円」というプラン例を紹介しています。
500円プランでは制作日誌、ネーム、SNSで公開する漫画の先行公開などを提供し、1000円以上は追加特典を増やさず、もっと支援したい人向けにする設計です。
漫画は1話を制作するだけでも時間がかかります
支援者向けに別の漫画を毎月描くようになると、本編制作そのものが遅れることがあります。
FANBOX公式も、漫画の場合は高額プランへ制作負担の大きい豪華特典を設ける形を推奨していません。支援者が求めているのは特典の量ではなく、本編が継続して制作されることである場合も多いためです。
漫画家だけでなく、一枚の作品に何時間、何十時間も使うイラストレーターにも同じことが言えます。
上位プランを支援すると下位プランも読める
複数プランを作るときは、FANBOX独自の閲覧方式も理解しておきたいところです。
ひとりの支援者が同じクリエイターの複数プランを同時に支援することはできません。
その代わり、高額プランを支援すると、その金額以下のプラン向け投稿をすべて閲覧できます。
たとえば、
| 500円 | 制作日誌 |
| 1000円 | 限定作品 |
| 2000円 | 応援用 |
という構成なら、2000円の支援者は500円・1000円・2000円向けの投稿をすべて読めます。
上位プランごとに完全に別のコンテンツ群を作る必要はありません
下位プランの内容を含みながら、必要なところだけ少し追加する設計ができます。
「1000円だから500円の2倍」は考えなくていい
支援プランを商品として考えると、価格差と内容量を合わせたくなります。
500円でラフ5枚なら、1000円は10枚。1000円で限定作品1枚なら、2000円は2枚。
この考え方を続けると、上位プランほど制作負担が重くなります
FANBOXでは、価格差をすべてコンテンツ量へ変換する必要はありません。
- 500円は活動を身近に見られるプラン
- 1000円は限定コンテンツも楽しみながら支援できるプラン
- 2000円は内容より支援額を増やしたい人向け
このように、金額によって支援の「深さ」を分ける方法もあります。
支援者にとって何が読めるのかは分かりやすくしつつ、価格差をすべて追加作業で埋めないことが長期運用では重要です。
更新回数を料金とセットで約束しすぎない
料金設定と一緒に考えたいのが、更新頻度です。
FANBOX公式は、プラン説明に「毎週必ず1枚投稿」「月4回更新」といった具体的な回数を記載する場合は慎重に考えるよう案内しています。
無理な更新頻度や特典を設定するとFANBOX運営が負担になり、本来の創作活動へ影響する可能性があるためです。
投稿頻度については、まず週1回程度を目安にしながら、自分に合ったペースを探すことが推奨されています。週1回も義務ではありません。
しかも、毎回完成作品を公開する必要もありません。
公式は、完成作品だけでなく制作途中の様子や短い投稿でもよいと案内しています。
「月500円をもらうなら毎週完成イラストを出さなければ」と考える必要はありません
完成作品を作るために支援してもらっているのに、FANBOX用の完成作品を作ることで本編が進まない状態は避けたいところです。
料金を決める前に「毎月何時間かかるか」を考える
プランを考えるときは、支援者から見た価値だけでなく、クリエイター側の制作時間も見ておきたいところです。
たとえば1000円プランへ毎月描き下ろしイラストを付けるとします。1枚に8時間かかるなら、その特典を続けるために年間96時間必要です。
支援者が10人でも100人でも、描く時間は8時間です。
ただし、支援者が少ない時期には8時間を使って得られる追加収益が少ない状態になります。
反対に、普段の制作で生まれるラフ、没案、制作日誌、先行公開などを利用すれば、FANBOXのためだけに新しい作品を作る時間を抑えられます。
FANBOXを続けるための仕事を増やすのではなく、普段の創作活動を支援者と共有する仕組みにする方が長く続けやすくなります。
迷ったら「500円・1000円・2000円」から考える
イラストレーターなら、最初の案として次の構成は使いやすいでしょう。
500円
制作日誌、ラフ、没案、制作途中、SNS公開作品の先行公開など。
1000円
500円の内容に加え、FANBOX限定作品や差分など、自分の制作ペースで無理なく追加できるもの。
2000円
1000円と同じ内容。もっと活動を支援したい人向け。
この形なら、支援しやすい入口を残しながら、1000円以上支援したいファンの受け皿も作れます
すでに500円プランだけで運営している人も、限定コンテンツを大量に追加する前に「同内容の応援用プラン」を追加する方法を検討できます。
FANBOX公式でも、複数プランの方が支援総額が増える傾向が示されています。
FANBOXでは「特典を売る」より「活動を続けられる料金」にする
FANBOXの料金設定で最優先したいのは、最も売れそうな金額を探すことではありません。
半年、1年と運営しても、本来の創作活動を邪魔しない設計になっているかを見ることです。
- 500円では制作過程を共有する
- 1000円では少し深く楽しめる内容を用意する
- 2000円以上では、追加作業を増やさず支援したい人の受け皿を作る
このくらいの差でも十分にプランとして成立します
ファンが支援したいのは、毎月大量の特典を納品してくれる人ではなく、その人の作品や活動がこれからも続いてほしいからという場合があります。
支援額を増やすために制作量まで比例して増やすのではなく、支援が増えるほど本来の制作へ時間を使える状態を作ることが、FANBOXの料金設定ではひとつの目標になります。