イラストや作品を販売してみたいけれど、「何を商品にすればいい?」「ブースはどう作る?」「原画とグッズをどう組み合わせる?」と迷っている人なら、買い物とは別の目的で覗いてみても面白そうです。
70名以上のクリエイターが参加する「YOKOHAMA CREATORS' MARKET(ハマクリ)Vol.3」が、横浜駅東口直結のスカイビルで開催されています。
会期は2026年9月23日まで。5日間で出展者が日替わりするため、個人クリエイターによる作品販売や見せ方をまとめて観察できるイベントです。
1日最大20名、5日間で70名以上が日替わり出展

「YOKOHAMA CREATORS' MARKET」は、アートやイラストを中心に活動するクリエイターと来場者をつなぐマーケット型イベントです。
今回で3回目となり、2026年9月19日から23日までの5日間開催。前回までより規模を拡大し、1日最大20名、5日間で総勢70名以上のクリエイターが参加します。
特徴的なのは、毎日ほぼ同じ出展者が並ぶ形式ではなく、クリエイターが日替わりで登場することです。
一部の作家は2日間出展しますが、日によって会場の作品が入れ替わります
好きな作品を探すイベントとして楽しめるのはもちろんですが、自分でもイラストや雑貨、ZINEなどを販売している人なら、別の見方もできます。
70人以上の個人クリエイターが、自分の作品をどう「商品」にしているのかを一度に見られる場所だからです。
作品だけでなく「どう売っているか」を見てみる
クリエイター系マーケットへ行くと、どうしても作品そのものへ目が向きます。
もちろん、それで問題ありません。
ただ、自分でもイベント出展を考えているなら、作品以外にも見ておきたいものがあります。
たとえば、
- 原画を販売しているか
- 複製作品を販売しているか
- ポストカードなど低価格の商品を用意しているか
- アクリルグッズやステッカーへ展開しているか
- 商品価格にどのくらい幅を持たせているか
- ブースの中で何を一番目立たせているか
- 作家名をどのくらい大きく見せているか
- SNSへつながる導線をどう作っているか
- 商品を立てるか、平置きするか
- 原画とグッズをどう並べているか
といった部分です。
同じ「イラストを描いて販売する人」でも、商品構成は作家によって変わります。
原画を中心にする人もいれば、イラストを雑貨へ展開する人もいる。作品集を作る人もいれば、一枚数百円で買えるアイテムを入口にする人もいます。
ネットショップなら一店舗ずつ探さなければならないところを、リアルイベントでは横へ歩くだけで比較できます。
「自分なら何を買うか」を考えると商品づくりの参考になる
商品研究というと難しそうですが、もっと単純に見る方法があります。
自分が客として欲しくなったものを覚えておくことです。
- 知らない作家なのに、なぜかステッカーを買いたくなった
- 原画は買わなかったけれど作品集は欲しくなった
- イラストは好みだったのに、結局何も買わなかった
- 逆に、作品自体は普段の好みと違うのに商品として面白くて買ってしまった
この差を考えてみると、自分の作品を販売するときにも使える発見があります。
「絵が上手ければ売れる」だけでは説明できない部分です。
価格、サイズ、用途、パッケージ、持ち帰りやすさ、限定感など、作品以外の要素も購入の判断に影響します
特に初めてイベントへ出展すると、作りたいものを全部作ってしまいがちです。
アクリルスタンド、ステッカー、ポストカード、キーホルダー、作品集、原画……と種類を増やせば、その分だけ制作費も在庫も増えます。
他のクリエイターの商品構成を見ることは、「何を作るか」だけでなく「何を作らないか」を決める参考にもなります。
ブースの「3メートル手前」から見てみる
もうひとつ観察してみたいのが、ブースの見え方です。
作品を販売するときは、机の前まで来てくれた人だけを考えてしまいがちです。
しかしイベント会場では、その前に「立ち止まってもらう」という段階があります。
少し離れた場所からブースを見たとき、「何を売っている人なのか」「どんな絵を描く人なのか」が伝わるでしょうか。
作品を細かく並べるだけでは、遠くから見るとすべてが同じ情報量になってしまいます。
- 代表作品を大きく見せる
- 高さを作る
- 強い色を一か所へ集める
- 作品集を開いて置く
- 商品ではなく作家自身のイラストを大きく掲示する
ブースによって答えはさまざまです。
グラフィックデザインで情報に強弱を付けるのと同じように、イベントの机にも視線の順番があります。
これからコミティア、デザインフェスタ、文学フリマ、ZINEイベントなどへ出展したい人なら、商品より先にブース全体を見るのもおすすめです。
5日間毎日、ライブペインティングも実施
ハマクリでは、会期中毎日ライブペインティングも予定されています。
場所はスカイビルB2Fエントランス横。時間は13時から17時までです。
完成したイラストを見るイベントは多くありますが、制作途中を長時間見られる機会はそれほど多くありません。
イラストを描いている人なら、
- どこから描き始めるのか
- 最初から細部へ入るのか
- 画面全体を作ってから描き込むのか
- どのくらい離れて画面を確認するのか
- どこで完成と判断するのか
といったところまで見てみると面白そうです。
ライブペインティングでは、完成作品からは消えてしまう迷いや修正も制作過程の一部として見えます。
デジタル制作が中心の人にとっても、自分とは違う制作手順を見ることは刺激になります。
クリエイターの絵をイベント公式グッズへ展開
今回は、出展クリエイターのイラストを使ったハマクリオリジナルTシャツも販売されています。
3種類あり、価格はいずれも3,300円です。
個人クリエイターの立場から見ると、こちらも面白い事例です。
自分のイラストを自分のグッズとして販売するだけでなく、イベント側の商品へ作品をライセンスするという展開だからです。
ライセンスは、作品を第三者が商品や広告などへ使用することを、一定の条件で許可する仕組みです。イラストレーターの仕事では、作品そのものを納品するだけでなく、使用範囲や期間、媒体などを決めて利用を許諾するケースがあります。
イベントのキービジュアル、Tシャツ、ショッパー、ポスター、会場装飾。
クリエイター系イベントでは、こうした部分にもイラストの仕事があります。
「出展して作品を売る」だけがイベントとクリエイターの関係ではありません。
館内装飾にもクリエイター作品を使用
会場となるスカイビルでは、館内装飾にもクリエイターの作品が使われます。
これも個人で活動するイラストレーターなら見ておきたい部分です
SNSへ投稿するときはスマートフォンの画面で見ることを考えます。
作品集ならページサイズを考えます。
イベント装飾なら、さらに大きな空間へ作品が出ていきます。
数センチのスマートフォン画面で見ていた絵を、大きな掲示物へ展開すると印象は変わります。
- 線の太さ
- 色
- 余白
- 人物の大きさ
- 文字との組み合わせ
普段デジタルでしか作品を発表していない人ほど、「自分の絵を大きく出力したらどう見えるか」を考える材料になります。
作家本人がいることも、リアルイベントの商品価値になる
ネットショップなら24時間いつでも作品を買えます。
それでもクリエイター系マーケットへ人が集まる理由のひとつが、作った本人に会えることです。
ハマクリも「作り手と直接交流できるマーケット」を特徴として掲げています
これは作品を売る側にとっても重要です。
- 作品を買ってもらう
- SNSをフォローしてもらう
- 名前を覚えてもらう
- 次のイベントへ来てもらう
- オンラインショップで再び買ってもらう
イベント当日の売上だけを見ると、「出展料や交通費を考えたらネット販売のほうがいい」となることもあります。
しかし、イベントで一度作家本人と話したことで、その後もSNSを見続けるファンになることがあります。
個人クリエイターにとってリアルイベントは、商品を販売する場所であると同時に、作品と作家名を結びつけてもらう場所でもあります。
他のクリエイターが来場者とどんな距離感で接しているのかを見るのも、出展を考えている人には参考になります。
「売れているブース」だけを見る必要はない
イベントへ研究目的で行くと、人気のブースばかり見たくなります。
ただ、それだけではもったいない。
- 人が立ち止まるブース
- 素通りされるブース
- 遠くから目立つブース
- 近づくと面白いブース
- 商品数が多いブース
- 数点だけを大きく見せるブース
それぞれに違いがあります。
もちろん、その日の売上を外から正確に判断することはできません。
だから「この並べ方なら売れる」と短絡的に結論を出すのではなく、自分自身の視線がどこで止まったかを見るほうが役立ちます。
- なぜそこを見たのか
- 色なのか
- 作品なのか
- POPなのか
- 商品の高さなのか
- 作家本人が制作していたからなのか
自分が無意識に反応したものを言葉にして持ち帰れば、次に自分がイベントへ出るときのヒントになります。
9月23日まで、横浜駅東口直結で入場無料
「YOKOHAMA CREATORS' MARKET Vol.3」は、2026年9月23日まで開催されています。
会場は横浜駅東口直結のスカイビル10F中央広場。開催時間は11時から17時までで、入場は無料です。
5日間で総勢70名以上が参加し、出展者は日替わり。ライブペインティングも毎日予定されています。
「この人たちは、自分の作品をどう商品にして、どう見せて、どう名前を覚えてもらっているのか」
70人いれば、70通り近い答えがあります。
これから同人イベントやアートマーケット、ZINEイベントへ出展してみたい人なら、自分のブースを作る前の参考資料を探す感覚で歩いてみても面白そうです。
関連リンク
YOKOHAMA CREATORS' MARKET Vol.3|スカイビル公式発表