Monotypeは2026年10月8日、フォントサービス「Monotype Fonts」に新たな2ファミリーを追加しました。今回提供を開始したのは、個性的な文字の形が特徴の和文ゴシック体「Sabazushi(さばずし)」と、植物の葉や自然の動きから着想を得た欧文書体「Yo Organic Leaf」です。
Sabazushiは、すっきりとしたゴシック体をベースに、一部の文字へ特徴的な曲線を取り入れた書体。Yo Organic Leafは、植物の葉が持つリズムや質感を文字の形に反映した書体で、通常の22スタイルに加え、2種類のバリアブルフォントを収録しています。
いずれも広告やパッケージ、書籍などのデザインを想定しており、Monotype Fontsで利用できるようになりました。
日本語ゴシック体「Sabazushi(さばずし)」とは?

Sabazushiは、一般的なゴシック体のようなすっきりとした骨格を持ちながら、一部の文字に個性的な形を取り入れた日本語書体です。
文字の基本的な造形には、水平線や垂直線を中心とした幾何学的な要素が使われています。
一方で、すべての線を直線的に処理しているわけではありません。ところどころに、手で文字を書いたときの運筆を思わせる柔らかな曲線が取り入れられています。
整ったゴシック体の中に、少し意外性のある形が現れる。この組み合わせがSabazushiの特徴です。
文字の組み合わせによって印象が変わる
Sabazushiは、すべての文字を同じように装飾した書体ではありません。
比較的すっきりとした文字と、独特の骨格を持つ文字が混在しています。
そのため、同じフォントを使っていても、どの文字を組み合わせるかによって見た目の印象が変わります。
たとえば、見出しを組んだときに特徴的な文字が含まれていれば、その部分が自然にアクセントになります。
反対に、特徴の強い文字が少ない組み合わせでは、比較的落ち着いたゴシック体として見えることもあるでしょう。
文字を単体で見たときのデザインだけでなく、複数の文字を並べたときに生まれる変化を楽しめる書体です。
Sabazushiの収録スタイルと文字セット
今回の公式発表によると、Sabazushiの収録スタイルはBoldの1種類です。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 書体名 | Sabazushi |
| 読み方 | さばずし |
| 分類 | 和文ゴシック体 |
| スタイル | Bold |
| スタイル数 | 1 |
| OTF文字セット | Adobe-Japan 1-3 |
| TTF文字セット | Adobe-Japan 1-2 |
| 提供サービス | Monotype Fonts |
Adobe-Japan 1は、日本語フォントに収録される文字や記号などを定義した文字集合の規格です。
Sabazushiでは、OTF形式とTTF形式で対応する文字セットが異なります。
そのため、特殊な漢字や記号を多く使用する場合には、必要な文字が収録されているかを確認しておく必要があります。
Sabazushiはどんなデザインに向いている?
Sabazushiは、ゴシック体の読みやすい印象を残しながら、文字そのものに個性を持たせたい場合に候補となる書体です。
たとえば、商品のパッケージやポスター、書籍のタイトルなど、比較的大きな文字を使うデザインが考えられます
一般的なゴシック体では整いすぎてしまうものの、装飾の強いデザインフォントでは主張が強すぎる。そんな場面では、Sabazushiのように文字の一部へ特徴を持たせた書体が選択肢になります。
同人誌やZINEのタイトルにも
同人誌やZINEの表紙では、作品名をどのような書体で見せるかによって印象が変わります。
たとえば、写真やイラストを中心とした表紙で、タイトルの文字数を抑えたい場合です。
文字数が少ないと、ひとつひとつの文字の形が目に入りやすくなります。
Sabazushiの特徴的な骨格を持つ文字がタイトルに含まれていれば、シンプルなレイアウトでも印象を残せるかもしれません。
ただし、今回提供されるのはBoldの1スタイルのみです
太さの異なるウェイトを組み合わせて階層を作りたい場合は、ほかの書体との併用を検討する必要があります。
また、特徴的な文字の形が作品の雰囲気に合うかどうかは、実際に使用するタイトルを組んで判断したいところです。
植物の葉から着想を得た欧文書体「Yo Organic Leaf」

もうひとつの新規追加書体「Yo Organic Leaf」は、Monotypeが展開するフォントワークスYoシリーズの欧文書体です。
自然から着想を得た「Yo Organic」ファミリーのひとつで、植物の葉が持つリズムや質感、動きを文字の形に取り入れています。
ただし、葉っぱのイラストを文字に貼り付けたような装飾フォントではありません。
植物の葉や茎を直接描くのではなく、自然の中に見られる曲線や動き、形の変化をタイポグラフィとして表現しています。
自然の動きを文字の形に取り入れる
Yo Organic Leafは、ヒューマニスト系の欧文書体として設計されています。
ヒューマニスト系書体とは、手書きの文字や人の筆記動作から影響を受けた造形を持つ書体のことです。
幾何学的な図形だけで構成された文字とは異なり、人が手で書いたときの自然な動きや曲線が感じられる場合があります。
Yo Organic Leafでは、こうした特徴に加えて、植物の成長や葉の動きから得たイメージが取り入れられています。
Monotypeは、春に芽吹く葉から秋に散る葉まで、自然の中で見られるリズムや質感をデザインに反映したと説明しています。
オーガニック食品やクラフト製品のデザインにも
Yo Organic Leafは、自然や環境への配慮を連想させる表現を持つ書体として開発されています。
想定されている用途には、雑誌や広告、書籍のほか、オーガニック食品やウェルネス関連商品のパッケージなども含まれます。
たとえば、自然素材を使った製品のブランドロゴや、植物をテーマにした出版物のタイトルなどです。
植物を描いたイラストと組み合わせるだけでなく、文字そのものの形から自然な雰囲気を伝えることも考えられます。
また、Monotypeはディスプレイ用途から本文用途まで幅広く使える書体として案内しています。
Yo Organic Leafは22スタイル+2種類のバリアブルフォントを収録
Yo Organic Leafには、通常の22スタイルと、2種類のバリアブルフォントが収録されています。
通常のスタイルは、11種類のウェイトそれぞれに直立体とイタリック体が用意されています。
| ウェイト | 直立体 | イタリック体 |
|---|---|---|
| Extra Light | ○ | ○ |
| Light | ○ | ○ |
| Regular | ○ | ○ |
| Medium | ○ | ○ |
| Demi | ○ | ○ |
| Bold | ○ | ○ |
| Extra Bold | ○ | ○ |
| Heavy | ○ | ○ |
| Ultra | ○ | ○ |
| Black | ○ | ○ |
| Fat | ○ | ○ |
これら22スタイルはOTF形式で提供されます。
さらに、TTF形式の「Variable」と「Variable Italic」も用意されており、合計24スタイルとなります。
バリアブルフォントとは?
バリアブルフォントは、ひとつのフォントファイルの中に、文字の太さなどを変化させるための情報を収録したフォントです。
従来のフォントでは、RegularやBoldなど、あらかじめ用意されたスタイルを選択して使用することが一般的でした。
一方、バリアブルフォントでは、対応するアプリケーション上で指定された範囲内の値を調整できます。
たとえば、Regularでは細すぎるものの、Boldでは太すぎるという場合に、その中間の太さを検討できます
ただし、調整できる項目はフォントごとに異なります。
Yo Organic Leafについても、実際に調整できる軸や範囲は、使用するフォントファイルとアプリケーションで確認する必要があります。
日本語フォントと欧文フォント、どう使い分ける?
今回追加されたSabazushiとYo Organic Leafは、どちらも個性的な造形を持つ書体ですが、対応する文字やスタイル構成は異なります。
| 比較項目 | Sabazushi | Yo Organic Leaf |
|---|---|---|
| 主な対応文字 | 日本語 | 欧文 |
| 書体の特徴 | ゴシック体に個性的な骨格を組み合わせる | 植物の動きや質感を文字に反映 |
| スタイル数 | 1 | 24 |
| ウェイト | Bold | Extra Light〜Fat |
| イタリック | なし | あり |
| バリアブルフォント | 発表なし | 2種類 |
| 想定用途 | 広告、パッケージ、書籍など | 広告、パッケージ、書籍など |
日本語の見出しを中心に使用する場合はSabazushi、欧文のタイトルやロゴなどを制作する場合はYo Organic Leafが候補になります。
また、英語のタイトルと日本語の説明文を組み合わせるようなデザインでは、異なる書体を組み合わせることも考えられます。
ただし、今回の2書体が互いに組み合わせることを前提に設計されたものではありません。
日本語と欧文を併用する際には、文字の太さや高さ、曲線の印象などを比較し、全体のバランスを確認する必要があります。
SabazushiとYo Organic Leafはどこで使える?
今回の2書体は、Monotypeのフォントサービス「Monotype Fonts」に追加されました。
Monotype Fontsは、さまざまなフォントメーカーの書体を利用できるサブスクリプション型のサービスです。
フォントの検索やプレビュー、利用する書体の管理などに対応しており、企業やクリエイティブチームでの利用も想定されています。
LETSやMyFontsでも利用できる?
Monotypeは、Monotype Fonts以外にも、フォントワークスLETSやMyFontsなどのサービスを展開しています。
ただし、2026年10月8日付の公式発表で、今回の2書体の提供先として明記されているのはMonotype Fontsです。
フォントワークスLETSやMyFontsでの提供については、今回の発表では案内されていません。
そのため、これらのサービスを契約している場合でも、SabazushiとYo Organic Leafをすぐに利用できるとは限りません。
また、同人誌や商業出版物、Webサイトなどに使用する際には、利用するサービスのライセンス条件を確認してください。
文字の形からデザインを考えられる新たな2書体
今回Monotype Fontsに追加されたSabazushiとYo Organic Leafは、それぞれ異なる方法で文字に個性を持たせた書体です。
Sabazushiは、ゴシック体の整った骨格をベースに、特徴的な文字をアクセントとして取り入れています。
Yo Organic Leafは、植物の葉や自然の動きを文字の形に反映し、22種類の通常スタイルと2種類のバリアブルフォントを用意しています。
どちらも文字の造形そのものに特徴があるため、写真やイラストを加えなくても、タイポグラフィを中心としたデザインを検討できそうです。
2書体は2026年10月8日からMonotype Fontsで提供されています。
関連リンク
Monotype|新書体「Sabazushi」「Yo Organic Leaf」公式発表(2026年10月8日)
Monotype Fonts|公式サービス紹介