pixivFANBOXが、無断転載への対策をもう一段進めます。
2026年9月29日から、FANBOXへ投稿したコンテンツが無断転載された場合に、FANBOX運営がGoogleへ検索結果からの削除申請を行うサービスが始まります。
FANBOXでは以前から無断転載サイトへの対策を続けていましたが、今回の仕組みでは、希望するクリエイターに代わって運営が削除申請そのものを行えるようになります。
FANBOXで限定イラスト、漫画、制作過程、差分などを公開しているクリエイターには、知っておきたい変更です。
9月29日から「検索結果からの削除申請サービス」が開始
pixivFANBOXは2026年8月24日、「検索結果からの無断転載コンテンツの削除申請サービス」を9月29日から提供すると発表しました。
対象となるのは、FANBOXへ投稿されたコンテンツをクリエイターの同意なく掲載している可能性が高い無断転載サイトです。
FANBOX運営がGoogleへ著作権侵害の申し立てを行い、該当ページを検索結果から削除するよう申請します。
ここで注意したいのは、転載サイトそのものをインターネットから消すサービスではないことです。
Google検索結果から対象ページを削除するための申請です
検索経由で無断転載コンテンツへアクセスされる経路を減らす対策、と考えるとわかりやすいでしょう。
なぜ今までFANBOX運営が申請できなかったのか
理由は著作権です。
FANBOXへ投稿した作品の著作権は、基本的に投稿したクリエイター側にあります。
そのため、これまでFANBOX運営はサービス提供者ではあっても、その投稿作品の著作権者ではありませんでした。
Googleへ著作権侵害による削除を申し立てる場合、原則として著作権者本人や権限を与えられた代理人などが申請する必要があります。
FANBOX運営が「この作品は無断転載されています」と把握していても、著作権者ではない以上、自社名義で自由に削除申請できるわけではなかったわけです。
解決策が「著作権の共有」
そこで今回導入されるのが、クリエイターとピクシブによる著作権の共有です。
削除申請サービスを利用したいクリエイターが専用フォームから手続きを行い、投稿コンテンツに関する著作権をピクシブ株式会社と共有します。
これによってピクシブ側も著作権者として削除申請を行えるようになります
「共有」と聞くと少し身構える人もいると思います。
ただし、今回の仕組みは作品の著作権をピクシブへ丸ごと譲渡するものではありません。
FANBOXの説明では、著作権の共有は希望者のみで、共有された著作権は検索結果からの削除申請など、著作権侵害への対応以外には利用しないとしています。
利用しないクリエイターは、著作権を共有する必要もありません。
デフォルトでは著作権を共有しない
今回の規約変更によって、FANBOXを利用しているすべてのクリエイターの著作権が自動的にピクシブと共有されるわけではありません。
削除申請サービスの利用を希望した人だけが、専用フォームから著作権共有を選択します。
初期状態では共有しない設定です。
つまり、
- FANBOXをこれまで通り利用する
- 著作権は自分だけで保持する
- 必要になったときは自分で削除申請する
という使い方も引き続きできます。
無断転載対策を運営へ任せたい人向けに、もう一つの選択肢が増えると考えた方が近いでしょう。
背景にはFANBOX投稿の大規模な無断転載問題
今回のサービスが始まる背景には、FANBOXが長く対応してきた無断転載問題があります。
ITmedia NEWSによると、2025年1月ごろから、一部の支援者がログイン状態を維持するためのセッションIDを無断転載サイト側へ提供し、FANBOXの投稿データが一括取得される被害が発生していました。
セッションIDは、Webサービスでログイン状態を識別するために使われる情報です。これが悪用されると、本来ログインした本人だけが閲覧できるページへ第三者のシステムからアクセスされる場合があります。
FANBOXではアカウント停止などの対策を行い、無断転載サイトへのアクセス経路を遮断してきました。
2026年3月に公開された対応状況では、無断転載サイトへのGoogle検索結果からの削除申請も8万2,800件行ったと説明されています。
ただし、FANBOX運営自身が著作権を持っていない個々の投稿コンテンツについては、対応できる範囲に限界がありました。
今回の著作権共有は、その穴を埋める仕組みです。
「転載サイトを消す」より「検索から見つからなくする」
DMCA申請という言葉を見かけることもあると思います。
DMCAは米国のデジタルミレニアム著作権法の略称です。Googleなどのサービスでは、著作権侵害コンテンツについて権利者から申し立てを受け、検索結果などから削除する仕組みが用意されています。
ただし、Googleから削除されても、転載サイト上のファイル自体が消えるとは限りません。
たとえば、「FANBOX ○○ 無料」などと検索したときに無断転載ページが上位へ出てくる問題に対して、その検索結果を消していくイメージです。
転載サイトそのものへの削除請求や、サーバー事業者への対応とは別のレイヤーになります。
とはいえ、検索から大量にアクセスされている転載サイトなら、検索結果から外れる意味は大きいでしょう。
自分でDMCA申請すると個人情報の問題もある
クリエイター本人がGoogleへ削除申請を行うこと自体は以前からできます。
ただ、手続きには心理的なハードルがあります。
申請方法がわかりにくかったり、何件も転載されていれば大量のURLを調べる必要があったりします。
さらに著作権侵害の申し立てでは、氏名などの情報を入力する場面もあります
個人で活動するイラストレーターや漫画家にとって、無断転載した側へ本名などが知られる可能性を心配するのは自然です。
FANBOXも、こうした手続きの負担や個人情報開示への不安がクリエイター側にあったことを、新サービス導入の背景として説明しています。
運営が申請主体になることで、クリエイター自身が毎回対応する負担を減らせます。
一度申し込めば今後の投稿も対象
報道によると、著作権共有の対象には既存投稿だけでなく、今後投稿するコンテンツも含まれます。
一度手続きを行えば、投稿するたびに申請し直す方式ではありません。
FANBOXを継続的に更新しているクリエイターにとっては重要な部分です。
たとえば毎月、
- 限定イラスト
- 差分
- 漫画
- PSDデータ
- 高解像度画像
などを投稿している場合、作品ごとに著作権共有を設定していく必要はない仕組みです。
支援者限定コンテンツを出している人ほど確認しておきたい
FANBOXの無断転載問題がやっかいなのは、無料公開している作品だけが転載されるわけではないところです。
支援者向けに公開したコンテンツまでコピーされ、外部サイトで誰でも閲覧できる状態になるケースがあります。
クリエイター側からすると、「支援者だけに見せる」という前提そのものが崩れてしまいます。
金銭的な問題だけでもありません。
ラフや制作途中の画像、限定公開を前提にした文章など、本来広く公開するつもりのなかった情報まで転載される場合があります。
FANBOXへ限定コンテンツを多く投稿している人ほど、9月29日以降の設定を一度確認しておいて損はなさそうです。
「著作権を共有」に抵抗がある人は利用しなくてもいい
今回のサービスは便利ですが、著作権の共有という言葉に抵抗を感じる人もいるでしょう。
無理に利用する必要はありません。
削除申請サービスを利用しなければ、これまで通りクリエイター自身が著作権を保持します。
ポイントは、FANBOXへ作品を投稿するだけで著作権を取られるわけではないということです。
サービスを利用したい人だけが著作権共有を選択します
また、共有された著作権の利用目的についても、FANBOXは著作権侵害への対応以外には利用しないと明記しています。
規約変更という言葉だけを見て「FANBOXに作品の権利を渡さなければならなくなる」と解釈しないようにしたいところです。
9月29日以降、FANBOXクリエイターは一度設定を確認
今回の変更は、FANBOXへ作品を投稿しているクリエイター全員が必ず何かを変更しなければならないものではありません。
ただ、
- 無断転載された経験がある人
- 支援者限定コンテンツを定期的に公開している人
- 自分でGoogleへ削除申請するのは負担だと感じている人
こうしたクリエイターには利用を検討する価値があります。
削除申請サービスは2026年9月29日から提供予定です。
開始後は専用フォームや正式な利用条件を確認したうえで、著作権共有を選択するか判断するのがよいでしょう。
個人的には、今回の変更で一番大きいのは「転載を完全に防げるようになった」ことではありません。
無断転載を見つけたクリエイターが、一人でGoogleの削除申請までやらなくてもよくなることです。
転載する側は自動化できますが、削除する側が作品ごとに手作業では消耗します。
プラットフォーム側がその部分を引き受けられるようになるのは、地味ですがクリエイター保護としては意味のある変更です。
関連リンク
- pixivFANBOX公式|「検索結果からの無断転載コンテンツの削除申請サービス」の提供と個別規約改定の事前お知らせ
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