「ターナー展2026-27」

イベント情報

ターナー展のコラボグッズ公開、絵画を刺繍・パッケージ・イラストに展開。320ページの公式図録も

2026年10月24日から国立西洋美術館で開催される「テート美術館 ターナー展――崇高の絵画、現代美術との対話」のコラボレーショングッズが公開されました。

今回発表されたのは、英国の画家J.M.W.ターナーの作品をモチーフにしたバッグや食品パッケージ、オリジナルイラストを使用した雑貨など。英国のアウトドアブランド「KARRIMOR」や、フランスと日本のデザイナーデュオによる「BRIGITTE TANAKA」、北陸製菓、きかんしゃトーマスなど、異なる分野のブランドが参加しています。

また、展覧会の公式図録についても詳細が発表されました。三木俊一氏がデザインを担当し、通常のA4判より幅の広い297×240mm、320ページの仕様で制作されます。

水彩画をプリントと刺繍で表現した「BRIGITTE TANAKA」

今回のコラボレーションの中でも、素材の使い方が興味深いのが「BRIGITTE TANAKA」のオーガンジーバッグです。

モチーフとなったのは、ターナーがヴェネツィアの街並みを描いた《カナル・グランデ、サン・シメオン・ピッコロ聖堂、夕暮れ》。

夕暮れの淡い色彩を生地へプリントし、建物の輪郭を刺繍、水面のきらめきをスパンコールで表現しています。

オーガンジーは、薄く透け感のある織物です。軽やかな質感を持ち、バッグや衣服の装飾などにも使われています。

今回のバッグでは、絵画を一枚の画像として生地に印刷するだけでなく、絵の中にある要素を異なる加工方法へ振り分けています。

  • 色彩はプリント
  • 建築物の輪郭は刺繍
  • 光の反射はスパンコール

それぞれの加工が持つ質感を利用して、平面の水彩画を立体的な素材表現へ置き換えています。

同じ絵画を使った商品でも、全面プリントのトートバッグとは違った印象になるでしょう

オーガンジーバッグの価格は11,660円(税込)。販売開始は11月上旬を予定しており、具体的な発売日は展覧会の公式SNSなどで案内されます。

北陸製菓「ビーバー」は、ターナーに扮した画家の姿に

食品パッケージでは、北陸製菓の揚げあられ「ビーバー」とのコラボレーションが発表されました。

商品名は「ターナービーバー」。

ターナーの《捕鯨船エレバス号に万歳! もう一頭獲ったぞ!》を背景に、画家に扮したビーバーが油彩画風のタッチで描かれています。

単に名画をパッケージへ配置するのではなく、既存のキャラクターを絵画の世界観に合わせて描き直したデザインです。

キャラクターの親しみやすさを残しながら、ターナー展とのコラボレーションであることが伝わるように仕上げています

中身は「白えび」味と「あおさ塩」味のアソートパック。画家になったビーバーのダイカットステッカーも付属します。

ダイカットとは、印刷物を指定した輪郭に沿って切り抜く加工のことです。ステッカーでは、キャラクターやロゴの形に合わせた自由な輪郭を作る際に使われます。

価格は778円(税込)です。

このパッケージで面白いのは、絵画とキャラクターのどちらか一方を主役にしていないことです。

ターナーの絵画を背景として使いながら、ビーバー自身も油彩画の表現へ寄せています。美術展のグッズでありながら、普段からビーバーを知っている人にも親しみやすいデザインです。

きかんしゃトーマスとのコラボでは、オリジナルイラストを制作

「きかんしゃトーマス」とのコラボレーションでは、ターナー本人がトーマスとダックをスケッチする姿を描いたオリジナルイラストが制作されました。

ターナーは、産業革命期の蒸気機関車を題材にした作品も残しています。

一方、きかんしゃトーマスに登場するダックは、ターナーの代表作にも描かれたグレート・ウェスタン鉄道に由来する機関車です。

今回の企画では、この共通点を利用して二つの世界を結び付けています。

ターナーの絵画にトーマスを合成するのではなく、画家本人がキャラクターをスケッチしているという新しい場面を描いている点が特徴です。

制作されたイラストは、Tシャツ、キーホルダー、クリアファイルなどのグッズに展開されます。

キャラクターコラボでは、既存のイラストを並べたり、互いのロゴを組み合わせたりする方法もあります。

今回のように、作品やキャラクターの背景にある共通点から新しい場面を考えると、コラボレーションならではのイラストを制作できます。

天久聖一氏の「来夢来人」は、文字をグッズに

漫画家・クリエイターの天久聖一氏が主宰する「来夢来人」からは、人気商品「プラタグ」のコラボレーション版が登場します。

採用された言葉は

  • 「ターナー」
  • 「崇高」
  • 「現代美術」
  • 「光」

の4種類。

展覧会を象徴する言葉を、文字そのものが主役になるグッズへ展開しています。

プラタグは全16種で、価格は各1,430円(税込)です

今回のグッズは、絵画を直接使わなくても、展覧会のテーマから商品を作れることを示しています。

美術展のグッズというと、展示作品の図版を印刷したポストカードやクリアファイルが定番です。

しかし、展覧会を構成する言葉や概念にも、デザインの材料になるものがあります。

「崇高」や「現代美術」といった言葉は、展示の説明文に使われることはあっても、そのまま身に着ける雑貨になる機会は多くありません。

言葉を選び、文字としてデザインすることで、絵画とは別の方法で展覧会の記憶を持ち帰れる商品になっています。

KARRIMORは絵画と展覧会ロゴを限定タグに

英国のアウトドアブランド「KARRIMOR」からは、3種類のコラボレーションアイテムが登場します。

今回採用されたのは、ターナーの《夕暮れの雲》と展覧会ロゴを組み合わせた限定タグです。

ターナーが各地を旅しながら山々や自然の風景を描いていたことにちなんだ企画で、バックパックやポーチなどに展開されます。

商品価格(税込)
mars top load 2714,520円
grab mini carry9,020円
TC team purse3,630円

今回のKARRIMORのグッズは、絵画を製品全体に大きく印刷する方法とは異なります。

ブランドの既存製品に、作品と展覧会ロゴを使用したタグを組み合わせることで、限定商品としての特徴を持たせています。

コラボレーションのデザインでは、既存商品の印象をどの程度残すかも重要です。

ブランドの世界観を維持しながら展覧会の要素を加える方法として、タグやラベルのデザインは参考になるでしょう。

公式図録は297×240mm、320ページの変形判型

展覧会の公式図録も、今回の発表で仕様が明らかになりました。

デザインを担当するのは、文京図案室の三木俊一氏です。

判型は縦297mm、横240mm。A4判と同じ高さを持ちながら、横幅を30mm広くしたサイズです。

項目仕様
図録テート美術館 ターナー展 公式図録
判型297×240mm
ページ数320ページ
デザイン三木俊一氏(文京図案室)
販売予定価格3,500円(税込)

一般的なA4判は297×210mmなので、今回の図録は横幅が約14%広くなっています。

公式発表では、この判型を採用することで作品を大きく掲載できる点が特徴として挙げられています。

ターナーの絵画には、横長の風景画も数多くあります。

作品の図版を大きく掲載したい場合、ページの横幅が広い判型には利点があります。もちろん、図版の配置や余白の取り方によっても見え方は変わるため、完成した図録で確認したい部分です。

カラー図版とモノクロの論考を分けた編集

図録には、展覧会の出品作品を掲載するカラーページのほか、作品解説やコラムが収録されます。

モノクロページには、英国側のキュレーターによるエッセイ2本と、日本側のキュレーターによる書き下ろしエッセイ2本を収録。主要参考文献表や年譜も掲載されます。

キュレーターとは、美術館や展覧会で作品の調査、選定、展示構成などを担当する専門職です。

今回の図録では、作品の図版を見せるページと、文章によって理解を深めるページが設けられています。

美術展の図録は、展示作品の記録であると同時に、一冊の書籍として長く読まれることも想定されます。

作品を鑑賞するための大きな図版と、研究や解説を読むための文章では、求められるレイアウトが異なります。

320ページという分量の中で、図版とテキストをどのように配置し、情報の階層を作っているのか。エディトリアルデザインや装丁に携わる人なら、完成した図録の中身も確認しておきたいところです。

絵画をそのまま印刷するだけではない、ミュージアムグッズのデザイン

今回のコラボレーショングッズを見ていると、同じターナーの作品を扱っていても、商品によって表現方法が異なることがわかります。

  • BRIGITTE TANAKAは、水彩画の表現を異なる素材と加工へ置き換えました。
  • 北陸製菓は、既存キャラクターを油彩画風に描き直しています。
  • きかんしゃトーマスでは、画家とキャラクターが出会う新しい場面をイラストにしました。
  • 来夢来人は、絵画そのものではなく展覧会の言葉を商品化しています。
  • KARRIMORは、作品と展覧会ロゴを限定タグへ落とし込みました。

どれも同じ展覧会のグッズですが、商品ごとに異なるデザイン上の判断が見られます。

美術作品を使ったグッズでは、作品の図版をそのまま商品へ印刷する方法もあります。それだけでも作品を身近に感じられますが、今回のように商品ごとの素材や用途に合わせて表現を考えると、さらに幅広い展開が生まれます。

特にイラストレーターやグラフィックデザイナーにとって参考になるのは、元の作品をどこまで残し、どこから新しい表現を加えるかという点でしょう。

一方で、古典絵画を商品に利用する際には、作品そのものの著作権と、所蔵館が提供する写真・デジタル画像の利用条件を区別する必要があります。

ターナーは1851年に亡くなっており、作品自体の著作権保護期間は終了しています。ただし、美術館が提供する画像の使用条件や、展覧会ロゴ、コラボレーション先のキャラクターなどには、それぞれ別の権利や契約上の条件が関係します。

今回のグッズは展覧会の公式企画として制作されたものであり、掲載されている作品画像やデザインを第三者が自由に商品化できるという意味ではありません。

ターナー展は10月24日開幕、2027年2月まで開催

「テート美術館 ターナー展――崇高の絵画、現代美術との対話」は、2026年10月24日から2027年2月21日まで、東京・上野の国立西洋美術館で開催されます。

ロンドンのテート美術館が所蔵する油彩画や水彩画など80点以上を展示し、ターナーの作品と現代美術を並べて紹介する展覧会です。

項目内容
展覧会名テート美術館 ターナー展――崇高の絵画、現代美術との対話
会期2026年10月24日(土)〜2027年2月21日(日)
会場国立西洋美術館(東京・上野)
開館時間9:30〜17:30
金・土曜日20:00まで開館
休館日原則月曜日、年末年始など
主催国立西洋美術館、テート美術館、朝日新聞社、テレビ朝日

今回公開されたグッズには、展覧会の開幕後に販売が始まる商品も含まれています。

BRIGITTE TANAKAのオーガンジーバッグは11月上旬の販売開始を予定しているため、購入を考えている場合は発売日の案内を確認してください。

また、発表された商品画像はイメージであり、完成品と異なる場合があります。

今回のコラボレーションは、名画をどのように商品へ展開できるかを考えるうえで、興味深い制作事例がそろっています。

特に、絵画を刺繍やスパンコールへ置き換えたバッグ、キャラクターを油彩画風に描いた食品パッケージ、文字だけで展覧会を表現した雑貨は、制作物の素材や用途からデザインを考える参考になりそうです。

展覧会の作品鑑賞と合わせて、ミュージアムショップのグッズや図録にも目を向けたいところです。

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