XPPenが2026年9月4日、ベルリンで開催中のIFA 2026で新しいクリエイター向けタブレット「Magic Pro 13」を発表しました。
イラストや漫画の制作では、「外ではタブレット、机では液タブ」という使い分けをしている人も多いでしょう。Magic Pro 13は、その2台を1台へまとめようとしています。
Magic Pro 13の主な仕様
発表されている内容を整理すると、次の通り。
| 項目 | Magic Pro 13 |
|---|---|
| OS | Android 16 |
| ディスプレイ | 3K・120Hz |
| スタイラス | X4 Smart Chip Stylus |
| 筆圧 | PC接続時16Kレベル |
| 単体利用 | Androidタブレットとして利用可能 |
| PC接続 | USB-C一本でDrawing Display Modeへ切り替え |
| 専用アプリ | Shelf、Canvas |
| 発売予定 | 2026年10月 |
| 価格 | 未発表 |
最大の特徴は、AndroidタブレットとPC用液タブの両方として使えることです。
外ではAndroidのお絵描きタブレットとして使える
Magic Pro 13にはAndroid 16が搭載されているため、PCへ接続しなくても単体で動作します。
3K解像度・120Hzのディスプレイと、新しい「X4 Smart Chip Stylus」を組み合わせ、外出先でもイラストやスケッチを制作できる設計です。
これだけなら、Android系のお絵描きタブレットとして珍しい構成ではありません。
Magic Pro 13が面白いのは、家へ戻ったあとも同じ端末を使い続けられるところです。
PCにつなぐと液晶ペンタブレットへ切り替わる
フル機能のUSB-CケーブルでPCへ接続すると、「Drawing Display Mode」へ切り替わります。
XPPenはこのモードについて、ソフトウェア経由で画面を転送する一般的な方法ではなく、専用のハードウェア構成を使っていると説明しています。これにより低遅延、ネイティブカラー出力、高帯域の映像転送に対応し、PC用液晶ペンタブレットとして使える仕組みです。
Drawing Display Modeでは16Kレベルの筆圧検知にも対応します。
つまり、外では単体でラフを描き、机へ戻ったらPCへつないでCLIP STUDIO PAINTやPhotoshopなどで仕上げる、といった流れを1台で作れます。
「タブレット+液タブ」を兼用する意味
デジタルイラストの制作環境では、端末の役割が分かれやすいところがあります。
iPadやAndroidタブレットは持ち運びやすく、思いついたときにすぐ描ける。一方で、PC版の制作ソフトや大型データ、周辺機器まで含めた作業環境はデスクトップ側の方が整えやすい。
自分は、外出用のタブレットと自宅用の液タブを別々に持ってます
Magic Pro 13は、この境界をなくす発想です。
外で使っていた端末そのものをPCの描画ディスプレイへ変えられるため、液タブを別に用意する必要がありません。
価格次第では、これからデジタルイラスト環境を揃える人にとっても選択肢になりそうです。
単なる画面共有ではなく「液タブモード」を作った
この製品で注目したいのは、PCの画面をAndroidタブレットへ映せること自体ではありません。
既存のタブレットでも、アプリや無線接続を使ってサブディスプレイやペンタブレットのように利用する方法はあります
XPPenはMagic Pro 13で、その用途を製品設計の中心に置いています。
専用のDrawing Display Modeを用意し、USB-C一本でPCと接続。遅延や色の再現、ペン入力まで液タブ用途を前提に設計しています。
「タブレットでも液タブっぽく使える」ではなく、最初から両方として販売する製品です。
アイデア整理用の「Shelf」も搭載
XPPenはハードウェアだけでなく、Magic Pro 13向けのソフトウェアも用意しています。
「Shelf」は、制作資料や画像などを整理するためのライブラリアプリです。
素材を自動でタグ付けし、保存・分類して、あとから検索できるようにします。
イラスト制作では、Pinterest、スクリーンショット、写真、配色資料、ポーズ資料など、描く前に集めた参考画像が増えやすくなります。
端末そのものに資料整理の仕組みを持たせたのは、単に絵を描くハードウェアではなく、制作工程全体を取り込もうとしている部分です。
ラフをすぐ描く「Canvas」
もうひとつの専用アプリが「Canvas」です。
機能を絞ったスケッチ用アプリで、複雑な制作ソフトを開かず、思いついたアイデアをすぐ描き留める用途を想定しています。
このあたりはPC向け液タブにはない発想です
液タブはPCを起動し、ソフトを開かなければ描けません。
Magic Pro 13なら単体でCanvasを開いてラフを描き、後からPCへ接続して本制作へ移れます。
イラスト・漫画制作では「どのアプリが動くか」も重要
現段階で発表されているのはハードウェアとXPPen独自アプリが中心で、Android側で利用できる制作アプリの詳細までは案内されていません。
AndroidにはCLIP STUDIO PAINTをはじめ複数の描画アプリがありますが、Magic Pro 13でどのアプリが正式対応するのか、筆圧やショートカットを含めてどこまで最適化されるのかで使い勝手は変わります。
単体モードでラフだけ描くのか、漫画原稿やイラストを最後まで仕上げられるのか。製品の評価はこの部分にも左右されそうです。
価格がいちばん気になる
Magic Pro 13は2026年10月発売予定ですが、価格はまだ発表されていません。
この製品の場合、スペック以上に価格帯が重要です。
単体タブレットとして考えればiPadやAndroidタブレットが競合し、液タブとして考えればXPPen自身のArtistシリーズやWacom Cintiqなどがあります。
その2台分を兼ねられる価格なのか、それとも高性能タブレットとして上位価格帯になるのかで評価は変わります。
メイン端末として購入するなら、ストレージ容量やメモリ、バッテリー、重量など、まだ発表されていない仕様も確認したいところです。
「外用」と「家用」の制作環境が一つになる?
イラスト制作のモバイル化は以前から進んでいます。
ただ、外で描けるタブレットが増えても、PC中心の制作環境そのものがなくなったわけではありません。
漫画の複数ページ管理、大判イラスト、3D素材、Photoshopとの連携など、PCで作業したい場面は残っています。
Magic Pro 13は、どちらかを選ばせるのではなく、端末の役割そのものを切り替えます。
外ではAndroidタブレットとして描く。机では液タブにする。
この使い方がうまく成立すれば、「モバイル用のお絵描き端末」と「PC用の液タブ」を別々に買うという構成そのものが変わる可能性があります。
発売は2026年10月予定。価格、重量、バッテリー、メモリ・ストレージ、対応アプリなどが発表された段階でもう一度追いたい製品です。