Skebを始めるとき、迷いやすいのが「おまかせ金額」です。
高く設定するとリクエストが来なくなりそうで不安になる一方、安くすると依頼が増えても制作時間ばかり取られてしまいます。
2026年現在、Skebの月間平均取引金額は約1万4000円です。サービス開始初期の約1万1000円から上昇しており、Skeb自身もイラスト業界全体の単価上昇をサービスの目的のひとつとして掲げています。
ただし、「平均が1万4000円だから、おまかせ金額も1万4000円にすればいい」という意味ではありません。
制作速度、依頼内容、普段の仕事量、Skebをどの程度受けたいかによって、負担にならない金額は変わります。
おまかせ金額を決めるときは、他人の価格よりも「この金額ならリクエストが来たときに嬉しく承認できるか」を基準にした方が運用しやすくなります。
Skebの「おまかせ金額」は料金表ではない
Skebでは、クリエイターが目安となる「おまかせ金額」を設定し、クライアントはそれを参考にリクエスト金額を決めます。
ただし、「5000円ならバストアップ」「1万円なら全身」「2万円なら背景あり」といった料金表として扱う仕組みではありません。
Skebは2025年7月、Skebに関する料金表を公開する行為は規約とポリシーに反すると改めて注意喚起しました。「○円以上ならフルカラー」のように、金額ごとの完成度を事前保証することも禁止されています。
そのため、SNSやプロフィールへ次のような表を掲載する運用は避ける必要があります。
| 避けたい設定例 | 理由 |
|---|---|
| 5,000円:顔のみ | 金額ごとの完成度保証になる |
| 10,000円:全身 | 料金表として認識される |
| +5,000円:背景追加 | Skeb外で価格条件を設定する形になる |
| +3,000円:キャラ1人追加 | リクエスト前の見積もりに近くなる |
Skebでは、届いた内容と金額を見たうえで、そのリクエストを承認するかどうかをクリエイターが判断します。
価格表を細かく作る一般的なコミッションとは、ここから考え方が違います。
月間平均1万4000円は「相場」ではない
Skeb公式によると、月間平均取引金額は約1万4000円です。
価格に迷うとこの数字をひとつの相場として見たくなりますが、平均取引額には幅広いクリエイターと依頼内容が含まれます。
短時間で描ける作品もあれば、背景や複数キャラクターを含む作品もあります。知名度の高いイラストレーターへの高額リクエストも含まれます。
さらにSkebはイラストだけのサービスではありません。漫画、ボイス、テキスト、動画など複数ジャンルの取引があります。
そのため、1万4000円を「イラスト1枚の適正価格」と考えるのは適切ではありません。
見るなら、Skeb全体で取引単価が以前より上がっていることを知るための数字です。
自分のおまかせ金額は、自分の制作条件から決めます
まず「この金額なら受けたい」を考える
価格を決めるときに分かりやすい方法が、届いたリクエストを見た瞬間の気持ちから逆算することです。
たとえば7000円で設定しているとします。
通知が来たときに「7000円なら描きたい」と感じるなら、その金額は現在の活動と合っています。
反対に、「また作業が増える」「この金額なら趣味絵を描きたい」と感じることが増えているなら、値上げを検討する余地があります。
Skebではクリエイターがすべてのリクエストを承認する必要はありません
承認する案件を選べるため、おまかせ金額は「誰でも依頼できる最低価格」を目指すより、自分が受注しても後悔しにくい位置へ置いた方が続けやすくなります。
制作時間から逆算する
もうひとつ確認したいのが、1件に何時間使っているかです。
たとえば、おまかせ金額8000円で受けた作品に8時間かかっているなら、単純計算では1時間あたり1000円です。
ここからSkebの手数料なども差し引かれます。
さらに、制作時間には絵を描いている時間だけでなく、資料確認、ファイル整理、書き出し、納品準備なども含まれます。
同じ8000円でも4時間で終わる人と12時間かかる人では、負担がまったく違います
価格設定を考えるときは、
| 確認したい項目 | 例 |
|---|---|
| 1件の平均制作時間 | 6時間 |
| 月に受けたい件数 | 4件 |
| Skebに使える時間 | 月24時間 |
| 現在のおまかせ金額 | 8,000円 |
| この条件で受けたいか | ○/△/× |
くらいは一度整理しておくと判断しやすくなります。
「1件受けると休日が丸一日なくなるのに、この価格で続けたいか」と考えるだけでも十分です。
リクエストが増えすぎたら値上げを考える
分かりやすい値上げのタイミングが、処理できる量を超えてリクエストが届くようになったときです。
依頼が増えること自体は嬉しいことですが、すべてを承認すると自主制作や本業、FANBOXなど別の活動へ使う時間がなくなります。
この状態で募集停止と再開を繰り返す方法もありますが、おまかせ金額を調整する方法もあります。
たとえば月2件程度受けたいのに、毎月10件前後リクエストが届くのであれば、現在の金額では需要に対して受注枠が安すぎる可能性があります。
値上げによって依頼数が減ったとしても、それが失敗とは限りません
5000円で月6件受けるより、1万円で月3件受けた方が、自分の制作ペースに合う人もいます。
売上だけでなく、Skebへ使う時間まで含めて考える必要があります。
承認を迷うことが増えたら価格を見直す
リクエストは届いているのに、承認ボタンを押すまで毎回迷う。これも価格を見直すサインです。
内容そのものが苦手だから迷う場合は別ですが、「描きたい内容だけれど、この金額でこの作業量は重い」と感じることが続くなら、おまかせ金額と現在の制作負担が合わなくなっています。
絵を描く速度や生活環境は変わります
Skebを始めた頃は学生で時間があった人が、就職後も同じ価格を維持すれば負担感は変わります。
FANBOXの支援者が増え、自主制作へ使った方が収益につながるようになる場合もあります。
過去に決めた価格を守り続ける必要はありません。
本業やFANBOXの方を優先したくなったときも値上げ候補
Skeb単体だけを見ると判断を誤りやすいことがあります。
クリエイターには、ほかにも使える時間があります。
- 自主制作をSNSへ投稿する
- FANBOXを更新する
- 同人誌を作る
- BOOTHの商品を整える
- 企業案件を受ける
すべて同じ時間から生まれます。
たとえば8000円のSkebを1件受けるために8時間使うなら、その8時間をFANBOX向けの制作や自分の作品へ使った場合と比較できます。
Skebを受けることで他の活動が止まっているなら、「もっとSkebを効率化する」だけでなく、「この金額以下なら受けなくてもいい」という価格設定も選択肢です。
依頼数を最大化することが、クリエイター収益の最大化とは限りません。
リクエストが来ないからすぐ値下げ、はおすすめしにくい
募集を始めたのにリクエストが届かないと、おまかせ金額を下げたくなります。
ただ、依頼が来ない理由は価格だけとは限りません。
- 作品数が少ない
- プロフィールから得意な絵が分からない
- 募集を始めたことをフォロワーが知らない
- 最近作品を投稿していない
- Skebを使うファンがまだ少ない
こうした状態で値段だけ下げても、依頼につながらないことがあります。
しかも、価格を下げて依頼が増えた場合、その金額で今後も制作できるかという別の問題が生まれます。
値下げする前に、自分のSkebページやSNSを見た人が「この人に何を頼みたいか」を想像できる状態になっているかを確認した方がよいでしょう。
「安いうちに実績を作る」は慎重に
Skebを始めたばかりだから、最初だけ安くして納品実績を作りたいと考える人もいるでしょう。
戦略として成立する場合はありますが、その価格で依頼が集中すると負担になります
特に注意したいのは、「安いから完成度を下げればいい」と事前に決める方法です。
Skebは金額による完成度保証を禁止しており、「○円ならこの程度」という料金表の公開も認めていません。届いた内容と金額を見て、クリエイター側が柔軟に判断する仕組みです。
安い金額で募集するなら、その金額のリクエストを受けても嫌にならないかを先に考えた方が安全です。
値上げするときに説明は必要?
おまかせ金額の変更について、長い説明を用意する必要はありません。
「制作環境の変化に伴い、おまかせ金額を変更しました」程度のお知らせを出すことはできます。
ただし、そこでSkeb用の料金表を作ったり、「この金額ならここまで描きます」と説明したりするのは避けましょう。
Skebは料金表をはじめ、事前に完成度を保証する行為を禁止しています。SkebのURLと料金表を同じSNS投稿に載せるなど、クライアントから料金表として認識できる形も問題になる場合があります。
「値上げしたから、その分必ず背景を描く」と約束する必要もありません。
価格を変えることと、制作内容を保証することは別です。
依頼内容が重ければ承認しない選択もできる
おまかせ金額を上げても、すべてのリクエストを受けやすくなるわけではありません。
同じ金額でも、
- キャラクター1人
- 複数キャラクター
- 複雑な衣装
- 背景あり
- 漫画形式
など、制作負担は変わります。
Skebでは事前の見積もりや相談ができないため、届いた内容と金額を見て承認するか判断します。
クライアント側もクリエイターへSNSやメールで「この内容ならいくらですか?」と聞くことは禁止されています。Skeb公式は、事前の金額確認や承認可否の確認も規約違反になると案内しています。
無理に全部受ける必要はありません。おまかせ金額は「この金額を払えばどんな内容でも受けます」という意味ではないからです。
1万4000円以上の取引をSkebが後押しした例も
Skebは2025年11月、1万4000円以上のリクエストを対象に手数料無料キャンペーンを実施しました。
2026年8月の総登録者400万人突破キャンペーンでも、1万4000円以上のリクエストを手数料無料条件のひとつにしています。
これは「全クリエイターが1万4000円に設定すべき」という意味ではありません。
一方で、Skeb自身が低価格競争を促すサービスではないことは分かります。
公式も、個別リクエストの金額を公開しない、金額によるクリエイター検索を用意しないなど、価格だけで比較されにくい設計を続けています。
「他の人より安くすれば依頼が来る」という競争へ入りにくくしているわけです。
値上げを考えたいタイミング
判断材料をまとめると、次のようになります。
| 状況 | 見直し |
|---|---|
| リクエストが処理できないほど届く | 値上げ候補 |
| 承認するたびに金額で迷う | 値上げ候補 |
| 1件あたりの制作時間が伸びた | 値上げ候補 |
| 本業や自主制作を圧迫している | 値上げ候補 |
| FANBOXなど別活動の方を優先したい | 値上げ候補 |
| 絵の制作工程や描き込み量が変わった | 再計算 |
| リクエストが来ない | 価格以外も確認 |
| 始めたばかり | 安易な値下げは慎重に |
「依頼が何件来たら上げる」という共通の正解はありません。
自分が月に何件受けたいかを先に決めると判断しやすくなります。
おまかせ金額は「依頼が最大になる価格」ではなくていい
Skebの価格設定では、安くして多く受けることだけを目標にする必要はありません。
月10件依頼が来ても、5件しか制作できなければ残りは断ることになります
そのうえ10件すべてを見て「この価格なら受けたくない」と思っているなら、設定自体を変えた方が自然です。
自分にとって使いやすい価格は、通知を見たときに「この金額なら描こう」と思える位置です。
- 依頼が少なくても負担なく続けられる
- 忙しい時期でも承認したくなる
- 自主制作やFANBOXの時間も残せる
- そうした状態を作るために、おまかせ金額があります
Skebの月間平均取引金額は約1万4000円まで上がっていますが、平均へ合わせる必要はありません。
自分の制作時間と活動全体を見ながら、「この金額なら受けたい」と思えるところまで調整することが、おまかせ金額を決める一番分かりやすい基準になります。