Wacom Cintiq Pro 17・22・27は、基本的なペン性能や4K・120Hzという部分では共通しています。
選択を左右するのは、17・22・27インチの作業領域と、机に置いたときのサイズ、色域、価格です。
漫画・イラスト制作なら22が最もバランスを取りやすく、省スペースを優先するなら17。DTP・写真・映像まで含めて色と作業領域を優先するなら27が候補になります。
3機種とも4K・120Hz・Wacom Pro Pen 3
サイズは違いますが、シリーズとしての基本性能はかなり揃っています。
| 比較項目 | Pro 17 | Pro 22 | Pro 27 |
|---|---|---|---|
| 画面 | 17.3型 | 21.5型 | 26.9型 |
| 解像度 | 3840×2160 | 3840×2160 | 3840×2160 |
| 最大Hz | 120Hz | 120Hz | 120Hz |
| DCI-P3 | 99% | 99% | 98% |
| Adobe RGB | 88% | 95% | 99% |
| Rec.709 | 100% | 100% | 100% |
| ペン | Pro Pen 3 | Pro Pen 3 | Pro Pen 3 |
| 筆圧 | 8192 | 8192 | 8192 |
| マルチタッチ | ○ | ○ | ○ |
| ExpressKey | 8 | 8 | 8 |
| 重量 | 2.2kg | 5.0kg | 7.2kg |
| 価格 | 371,800円 | 448,800円 | 525,800円 |
3モデルともフルフラットのAGエッチングガラス、10点マルチタッチ、Wacom Pro Pen 3を採用します。
そのため、「27だけペン性能が高い」というシリーズではありません。
価格差の中心は画面サイズと表示性能です。
漫画なら22が最も選びやすい
漫画制作では、キャンバスだけを大きく表示すればよいわけではありません。
CLIP STUDIO PAINTなら、
- レイヤー
- ページ管理
- サブツール
- 素材
- ナビゲーター
- カラーセット
も表示します。
17.3型でも4Kなので情報量は多いものの、UI自体が物理的に小さくなります。
21.5型の22なら、原稿とパレットを並べても窮屈になりにくく、26.9型ほど机を占有しません。
長時間漫画を描く個人クリエイターなら、17・22・27の中では、22が最も無難な中心モデルです。
ワコム自身も22を漫画・グラフィックデザイン・広告・写真編集などに適したサイズとして位置づけています。
17は省スペースが最大のメリット
Cintiq Pro 17は424×253×21mm、重量2.2kgです。Easy Standも付属します。
17.3型で4Kなので、画素密度は3モデルの中でも高くなります。
向いているのは、
- デスクが小さい
- 液タブ以外のモニターも置く
- 机上スペースを残したい
- ときどき制作場所を変える
- 大型液タブに圧迫感を感じる
人です。
「プロなら大きければ大きいほどいい」とは限りません。
27型を置いた結果、キーボードや資料の置き場がなくなったり、画面を見るために首を大きく動かしたりするなら17や22のほうが快適です。
17でも4Kなので解像度不足にはなりにくい
17インチというサイズから、FHD液タブのような表示領域を想像する必要はありません。
Cintiq Pro 17も3840×2160の4Kです。
| 最大輝度 | 400cd/㎡ |
| DCI-P3 | 99% |
| Adobe RGB | 88% |
| Rec.709 | 100% |
表示品質はプロ向けです
弱点は解像度より、物理的な画面サイズ。
文字やUIを見やすい倍率に設定すると、22・27よりキャンバスへ使える面積は小さくなります。
22は17より約7.7万円高い
公式価格は、
- Cintiq Pro 17:371,800円
- Cintiq Pro 22:448,800円
- Cintiq Pro 27:525,800円
です。
奇しくも17→22、22→27はそれぞれ77,000円差です。
つまり、約7.7万円で画面を一段階大きくする構造になっています。
17から22は、漫画・イラストでは効果を感じやすい差です。
22から27は、単なる作画面積だけでなく、色域や複数アプリを並べる用途まで含めて考えたほうがよいでしょう。
27はAdobe RGB 99%
Cintiq Pro 27はAdobe RGB 99%、DCI-P3 98%、Rec.709 100%に対応します。
22はAdobe RGB 95%、17は88%です。
| Cintiq Pro 17 | 88% |
| Cintiq Pro 22 | 95% |
| Cintiq Pro 27 | 99% |
この差は、Webイラストだけなら決定打にならない場合があります。
27を選ぶ意味が強くなるのは、
- DTP
- 商業印刷
- 写真
- 映像
- カラーグレーディング
- グラフィックデザイン
などを同じ制作環境で扱う人です。
漫画のモノクロ原稿だけなら、Adobe RGB 99%を目的に27へ上げる必要性は低いでしょう。
27は作業領域596×335mm
Cintiq Pro 27の読取可能範囲は596×335mm。
22は476×268mm、17は382×215mmです。
| Cintiq Pro 17 | 382×215mm |
| Cintiq Pro 22 | 476×268mm |
| Cintiq Pro 27 | 596×335mm |
27では原稿を大きく表示しながら、CLIP STUDIO PAINTやPhotoshopのパネルも広く並べられます。
複数ウィンドウを同時表示する場合にも余裕があります。
たとえば、
左 :参考資料
中央:Photoshop
右 :レイヤー・カラー
といった構成も作りやすくなります。
大型になるほど「腕を動かす量」も増える
大画面にはメリットだけではありません。
17から27へ大きくすると、キャンバス上の端から端までペンを動かす距離も増えます。
大きく腕を使って描く人には合いますが、手首中心で小さく描く人には27が広すぎることもあります。
また、画面の左右を見るために視線や首を動かす範囲も広がります。
液タブはテレビと違い、かなり近距離から使います
大画面=無条件に快適ではありません。
Cintiq Pro 22は5kg、27は7.2kg
本体重量は、
- 17:2.2kg
- 22:5.0kg
- 27:7.2kg
です。
さらに22・27は快適に使うためのスタンドやモニターアームも考える必要があります。
一度設置すると、頻繁に移動する機材ではありません。
部屋のレイアウト変更や引っ越しが多い人なら、17の扱いやすさは無視できません。
スタンド代まで含めて考える
Cintiq Pro 17にはEasy Standが付属しています。
22・27には、角度・高さ・回転へ対応する専用スタンドが別途用意されています。どちらもVESAマウントにも対応します。
液タブは角度が合わないと、
- 首
- 肩
- 腰
- 手首
への負担につながります。
40万円以上の液タブを買って、スタンドを節約した結果描きにくくなるなら本末転倒です
予算は本体だけでなく設置環境まで含めて考えてください。
17がおすすめな人
- デスクが小さい
- 外部モニターと並べたい
- 4K・120Hzは欲しい
- 色域はsRGB/DCI-P3中心で足りる
- 主にイラストや漫画を描く
- 27インチ級の圧迫感を避けたい
「Cintiq Proが欲しいが、大型液タブを置けない」なら17が有力です。
22がおすすめな人
- 漫画を長時間描く
- CLIP STUDIO PAINTのパレットを多く表示する
- イラスト制作が本業
- デスクに十分な奥行きがある
- 17では少し狭い
- 27までの大画面は必要ない
Creator Deskとしては、漫画家・イラストレーターが一台選ぶなら22を基準に考えます。
27がおすすめな人
- 大画面を最優先する
- DTP・写真・映像も扱う
- Adobe RGB 99%が必要
- 広いデスクがある
- 複数アプリを並べて作業する
- 本体+スタンドまで含めた予算を確保できる
漫画だけのために27を選ぶ必要はありません。
ただし、作画とデザインを仕事として一日中行い、制作環境へ投資するなら魅力があります。
結論:漫画・イラストなら22を基準に、机と仕事内容で上下する
Cintiq Pro 17・22・27は、性能グレードが順番に上がる製品というより、同じプロ向け描画環境を3つのサイズへ展開したシリーズです。
- 省スペースなら17。
- 漫画・イラストのバランスなら22。
- 色と大画面まで求めるなら27。
特に22は、21.5型・4K・120Hz・Adobe RGB 95%で、漫画原稿とツールパレットを広く表示できるため、個人の漫画家・イラストレーターには収まりがよいサイズです。
最終的にはスペックより、机へ実寸大の紙を置いてサイズを確認することをおすすめします。
液タブは毎日身体の前に置く道具です。7.7万円の差より、自分の姿勢・机・腕の動かし方に合うサイズを選ぶほうが長く使いやすくなります。