CLIP STUDIO PAINT Ver.5.1では、水彩ブラシの表現調整、新しいフィルター、3D機能、素材管理、タイムラプスなど、制作に関わる機能が幅広く追加されました。
機能数はかなり多いですが、すべてを把握する必要はありません。
普段イラストや漫画を制作している人なら、特に確認したいのは水彩境界、新しいフィルター、素材パレットの改善、3D関連、タイムラプスあたりです。
CLIP STUDIO PAINT Ver.5.1は2026年7月28日に公開
CLIP STUDIO PAINT Ver.5.1.0は、2026年7月28日に公開されました。
その後、7月31日にVer.5.1.1、8月6日にVer.5.1.2が公開されています。
8月のVer.5.1.2は新機能追加ではなく、Windows環境で発生する不具合の修正が中心です。
そのため、今回確認したい新機能の多くはVer.5.1.0で追加されたものです。
Ver.5.1系の主な変更をまとめると、次のようになります。
| 主な変更 | どんな人に便利? |
|---|---|
| 水彩境界の表現強化 | 水彩・厚塗り系イラスト |
| グロー・レリーフ・ドロップシャドウ追加 | 仕上げ加工をよく使う人 |
| スマートシェイプ改善 | 図形や整った線を描く人 |
| Labカラースライダー追加 | 色調整を細かく行う人 |
| 3D機能強化 | 3Dデッサン人形・VRM利用者 |
| 素材パレット改善 | ASSETS素材を多く使う人 |
| タイムラプス最大300秒 | 制作動画をSNSへ投稿する人 |
| Android版の操作改善 | Androidタブレット利用者 |
ここから、実際の制作で使いやすそうな変更を中心に見ていきます。
水彩境界に「フチの表現」が追加
水彩系ブラシの「水彩境界」に、新しく「フチの表現」が追加されました。
「ビビッド」を選択すると、ストロークの境界部分のコントラストを強調し、くっきりした水彩のフチを作れます。
従来の水彩境界でも絵の具が溜まったような縁取りは作れましたが、よりはっきりした表現を選べるようになりました。
ブラシ側だけでなく、レイヤープロパティの「境界効果」から水彩境界を設定した場合にも利用できます。
水彩ブラシを自作・調整している人は、一度設定を確認してみる価値があります。
グロー・レリーフ・ドロップシャドウの3フィルターが追加
作品の仕上げに使えるフィルターも3種類追加されています。
グロー効果
画像の明るい部分に、光がにじんだような発光表現を加えるフィルターです。
たとえば、
- 夜景の光
- 魔法エフェクト
- 逆光
- ネオン
- キラキラした背景
などに使えます。
これまでレイヤーを複製してぼかし、合成モードを変更して作っていたような表現を、フィルターから作りやすくなりました。
レリーフ
描画に凹凸のような立体感を加えます。
文字、模様、装飾、素材などを少し浮き上がらせたいときに使いやすい機能です。
ドロップシャドウ
描画内容に影を追加します。
文字やイラスト素材を背景から少し浮かせたいときなど、デザイン制作でも使いやすいフィルターです。
3つともフィルターギャラリーから利用できます。
普段Photoshopなどへ移動して仕上げ加工をしていた人なら、CLIP STUDIO PAINT内で完結できる作業が増えるかもしれません。
素材パレットの検索がかなり使いやすくなった
個人的に実用性が高いと感じるのが、素材パレット周りの改善です。
CLIP STUDIO ASSETSから素材をたくさんダウンロードしていると、「前に入れたブラシが見つからない」ということが起こりやすくなります。
Ver.5.1では素材検索の対象を、
- 素材名
- 素材集名
- ユーザータグ
から絞り込めるようになりました。
素材集名を使った検索にも対応しています。
さらに、素材パレットからCLIP STUDIO ASSETSを開いた場合、素材パレット側で指定した検索条件を引き継いだ状態で検索できます。
お気に入りや「最近使用した素材」を素材フォルダーツリーの上部へ固定する機能も追加されています。
素材を数十個しか持っていないうちは大きな違いを感じにくいですが、ASSETSを長く利用している人ほど恩恵が大きい変更です。
3Dデッサン人形の頭部を差し替えやすくなった
3Dデッサン人形と3D頭部モデルの連携も改善されました。
3Dデッサン人形と3D頭部モデルを親子関係に設定すると、人形側の頭部が非表示になり、3D頭部モデルが配置されるようになっています。
これまで、「身体はデッサン人形を使いたいけれど、頭部は別のモデルを使いたい」という場面では調整が必要でした。
Ver.5.1では頭部モデルとの組み合わせが扱いやすくなっています。
3Dハンドモデルについても、デッサン人形へ重ねて読み込むと自動的に親子関係が設定され、手へアタッチされるようになりました。
キャラクターイラストのポーズ確認で3Dをよく使う人には便利な改善です。
3Dキャラクターへ直接テクスチャペイントできる
Ver.5.1では、3Dキャラクターにもテクスチャペイントできるようになりました。
CLIP STUDIO PAINT上で3Dモデルを確認しながら、その表面へ直接描画できます。
自作3Dキャラクターや読み込んだVRMファイルでは、テクスチャの一括書き出しにも対応しています。
3Dモデルをそのまま完成品として制作する用途だけでなく、
- キャラクター衣装の確認
- 模様の位置決め
- 3Dを下絵として使う
- VTuber・VRMモデルの調整
などにも使えます。
CLIP STUDIO PAINTは2D作画ソフトという印象が強いですが、3Dを制作補助として使う人向けの機能はかなり増えてきています。
3Dの光源をカメラに追随できる
3Dレイヤーでは、平行光をカメラの向きへ自動追随させる設定も追加されました。
カメラを回転すると、3Dモデルの見え方によって光の当たり方が変わることがあります。
「カメラに追随」をオンにすると、カメラを動かしても同じ方向から照らされているような明るさを維持しやすくなります。
3Dモデルをデッサン資料として使う場合、角度を確認するたびに暗くなった部分の光源を調整する手間を減らせます。
タイムラプスを最大300秒で書き出せるように
タイムラプス機能にも変更があります。
書き出す動画の長さとして、
- 120秒
- 180秒
- 300秒
が追加されました。
最大5分まで選べます。
これまでより長い制作過程を残せるため、
- YouTube
- Instagramリール
- TikTok
- X
- 制作ポートフォリオ
などへ投稿する動画を作りやすくなりました。
短いタイムラプスでは工程が飛びすぎてしまうような、描き込み量の多い作品とも相性がよさそうです。
半透明の描画へフチを付けやすくなった
レイヤープロパティの境界効果にも「描画の透明度を反映」が追加されています。
従来は半透明の描画へフチを付けたとき、内部が塗りつぶされたような見た目になる場合がありました。
新しい設定をオンにすると、元の透明度を保ちながら滑らかなフチを作れます。
透け感のあるエフェクト、煙、光、半透明の素材などへフチを付けるときに使いやすい変更です。
メッシュ変形も途中から格子点を変更できる
メッシュ変形では、変形を始めたあとでも格子点の数を変更できるようになりました。
これまでは、「もう少し細かく変形したかった」と途中で気づくと、一度やり直したくなる場面がありました。
Ver.5.1では格子点を動かしたあとでも数を調整できます。
イラストの顔や衣服、模様などを微調整するときには地味に助かる改善です。
Android版はパームリジェクションに対応
Android版では、OS標準のパームリジェクションへ対応しました。
タブレットでペンを使って描いているときに、画面へ置いた手のひらを誤入力として認識しにくくなります。
ほかにも、
- 予測ストロークの方式変更
- OSのファイルアプリとの連携
- FBXファイルの読み込み
- マウス右クリック・中クリックの動作設定
などが追加されています。
Androidタブレットをメインの制作端末にしている人は、今回の更新内容を確認しておいたほうがよいでしょう。
Ver.5.1を利用できるプランには注意
今回のVer.5.1系アップデートは、主に次のユーザーが利用できます。
- 年額・月額利用プラン
- アップデートプラン
CLIP STUDIO PAINT Ver.5.0の無期限版を一括購入していて、アップデートプランを契約していない場合、2026年に順次追加される新機能はそのままでは利用できません。
Ver.5.0無期限版は、Ver.5.0発売時点で収録されている機能を期限なく利用するライセンスです。
その後追加される機能を使いたい場合は、アップデートプランなどが必要になります。
「Ver.5.0を買ったからVer.5系のアップデートは全部無料」とは限らないので注意してください。
派手な新機能より素材管理の改善がうれしい
グローや3Dテクスチャペイントのほうが見た目は派手ですが、普段使いで助かりそうなのは素材パレットの改善です。
CLIP STUDIO ASSETSは便利なぶん、ブラシや素材を増やしていくと「どこに入れたっけ?」が起こりやすいんですよね。
素材名だけでなく素材集やタグから探せて、お気に入りを上へ固定できるなら、毎日の小さな探し物を減らせます。
数秒の差でも、毎回やる操作が楽になるアップデートは長く使うほど効いてきます。
一方、水彩、3D、タイムラプスなどは使う人によって価値がかなり変わります。自分の制作フローに関係するものだけ拾えば十分です。
CLIP STUDIO PAINT Ver.5.1で特に確認したい機能
Ver.5.1では細かな改善まで含めると多数の変更があります。
全部試すのではなく、普段の制作内容に合わせて確認すると分かりやすいでしょう。
イラストを描く人
- 水彩境界
- グローなどの新フィルター
- メッシュ変形
- 半透明描画のフチ
素材をよく使う人
- 素材検索
- 素材フォルダーのピン留め
- ASSETSとの検索連携
3Dを使う人
- 頭部・ハンドモデル連携
- 3Dキャラクターへのテクスチャペイント
- 光源のカメラ追随
SNSへ制作動画を投稿する人
- 最大300秒のタイムラプス
制作内容によっては、毎日使う部分がかなり変わるアップデートです。
CLIP STUDIO PAINTを年額・月額利用プランまたはアップデートプランで利用している場合は、最新バージョンへ更新したうえで、自分の制作に関係する機能から試してみるとよいでしょう。
出典:CLIP STUDIO PAINT「リリースノート」Ver.5.1.0、Ver.5.1.1、Ver.5.1.2
https://www.clipstudio.net/ja/dl/release_note/latest/