株式会社ストレートエッジは2026年9月9日、横読み漫画の企画・編集・発行を行う新レーベル「SEC(ストレートエッジコミック)」を始動すると発表しました。
2027年の連載開始を目標に、漫画家と原作者の募集も開始しています。
ストレートエッジは『ソードアート・オンライン』『とある魔術の禁書目録』『魔法科高校の劣等生』などを手がけた編集者・三木一馬氏が設立した作家エージェント/IPプロデュース会社。ライトノベルやアニメを中心に培ってきたIP開発のノウハウを、漫画へ広げます。
漫画家だけでなく「原作者」も募集
SECは2027年の連載開始に向けて、漫画家と原作者を募集しています。
漫画家については完成原稿だけでなく、ネームや作画サンプルなどを含めて応募を受け付けています。
一方、原作者についても漫画原作の企画を募集。漫画を描ける人だけに入口を限定せず、物語や企画を作るクリエイターにも門戸を開いているのが特徴です。
漫画制作では、ストーリー・構成を担う原作者と、ネームや作画を担う漫画家が分業するケースがあります。近年はWebtoonを含め、企画、脚本、ネーム、線画、着彩などを複数人で担当する制作体制も増えています。
SECはこうした分業も視野に入れながら、新しい作品を立ち上げていく方針です。
「横読み漫画」を明確に掲げる
SECは、自らを横読み漫画のレーベルと明記しています。
スマートフォンで縦方向へスクロールして読むWebtoonではなく、ページや見開きを使って構成する従来型の漫画です。
ここをわざわざ明示しているのは興味深いところです
デジタル漫画市場では縦読み作品の制作会社やレーベルが増えていますが、SECはページ漫画を軸にIPを開発します。
横読み漫画では、コマ単体だけでなくページ全体、ページをめくった瞬間、左右の見開きまで含めて演出できます。
紙の単行本との相性も良く、従来の漫画制作で培われてきたページ構成そのものを作品表現として使える形式です。
元STUDIO ZOON編集長・鍛治健人氏が編集アドバイザーに
漫画編集アドバイザーには、元STUDIO ZOON編集長の鍛治健人氏が就任します。
鍛治氏はWebtoon・漫画制作の現場に携わってきた編集者です。
ストレートエッジ側が持つライトノベル・アニメ・IPプロデュースの経験と、漫画・Webtoon制作の編集経験を組み合わせる体制になります。
IPは「Intellectual Property(知的財産)」の略です。出版・アニメ・ゲーム業界では、作品やキャラクターを漫画、アニメ、ゲーム、グッズなど複数の領域へ展開できるコンテンツとして捉える際によく使われます。
新しい漫画を出版するだけでなく、その先のメディア展開まで考えて作品を育てる狙いが見えます。
ストレートエッジは「作家エージェント」から漫画へ
ストレートエッジは、出版社そのものとは少し立ち位置が異なります。
同社は作家エージェント/IPプロデュース会社として、作家の創作活動や作品展開を支援してきました。代表の三木一馬氏はKADOKAWA在籍時代を含め、『ソードアート・オンライン』『とある魔術の禁書目録』『魔法科高校の劣等生』など多数のライトノベル作品に関わっています。
今回のSECでは、その経験を漫画制作へ持ち込みます。
漫画作品を作って単行本として販売するだけではなく、作品そのものをIPとして育てることを最初から視野に入れたレーベルになりそうです。
2027年から連載開始を予定
SECの作品は2027年から連載開始予定です。
9月9日時点では、具体的な連載作品や作家陣は発表されていません。
つまり、完成した作品を並べて新レーベルを発表したというより、これから作品と作家を集めてレーベルそのものを立ち上げていく段階です。
漫画家・原作者の募集をレーベル発表と同時に始めたのも、そのためでしょう。
すでに商業漫画を描いている作家だけを集めるのではなく、新しい才能を探すところから始めます。
「原作は書けるけれど漫画は描けない」人にも入口
Creator Deskの読者にとって、とくに注目したいのは原作者募集です。
漫画家募集や漫画賞なら、完成原稿を描ける人が主な対象になります。
一方、SECでは原作者も募集しています。
漫画として見せる企画力やストーリー構成力があれば、「絵を描けないから漫画業界へ応募できない」とは限りません。
- 小説を書いている人
- 同人活動でシナリオを制作している人
- ゲームやボイスドラマの脚本を書いている人
なども、応募条件と自分の制作物を照らし合わせてみる価値があります。
ただし、「小説をそのまま送れば漫画原作になる」という意味ではありません。
漫画には、ページごとの情報量、場面転換、セリフ量、見せ場の配置など、漫画として読ませるための構成があります。
文章を書く能力とは別に、漫画へ変換する視点も求められます。
Webtoon経験者を迎えながら横読み漫画を選んだのも興味深い
今回の発表で少し面白いのは、Webtoon制作の経験を持つ鍛治氏を迎えながら、レーベル自体は横読み漫画を明確に掲げている点です。
縦読みか横読みかを単純に競わせる話ではありません
Webtoon制作で培われたデジタル配信や制作体制の知見を持ちながら、作品形式としてはページ漫画を選択しています。
漫画のデジタル化が進んでも、「スマートフォンで読む=すべて縦読み」になったわけではありません。
ページ単位の演出を持つ漫画がデジタルでも読まれ続けている中で、新しい会社があえて横読みを看板に掲げたことは、漫画制作の動向を見るうえでも覚えておきたいところです。
漫画家を探すだけではなく「作品を一緒に作る」レーベルへ
SECの発表を見る限り、単に完成作品を買い付けて配信するレーベルではなさそうです。
ストレートエッジが持つ作家マネジメントやIPプロデュースの経験を使い、編集者とクリエイターが企画段階から作品を立ち上げる方向を打ち出しています。
漫画家にとっても原作者にとっても、重要なのは「新しい漫画レーベルが増えた」ということ以上に、新しい商業デビューの入口がひとつ増えたことです。
まだ連載作品が始まっていないため、SECがどのジャンルを得意とするレーベルになるのかはわかりません。
ストレートエッジのこれまでの実績からライトノベル的な作品を想像することはできますが、募集段階でジャンルを狭く決めつけるべきではないでしょう。
2027年にどんな作品が並ぶのか。そして今回の募集から新しい漫画家・原作者が出てくるのか。漫画を商業作品として作りたいクリエイターなら、募集要項まで確認しておきたい新レーベルです。
関連リンク
ストレートエッジ|SEC(ストレートエッジコミック)発表
SECの公式発表を見る
ストレートエッジ公式サイト
ストレートエッジ公式サイトを見る