同人・イベント

ZINEを委託販売できる書店・サービス7選|手数料・条件を比較

ZINEを作ったあと、「イベント以外でも誰かに手に取ってほしい」と考えたら、書店やZINEショップへの委託販売が候補になります。

委託販売とは、作者が店舗へZINEを預け、売れた分だけ代金を受け取る販売方法です。店側は販売価格の一部を手数料として受け取り、売れ残った本は期間終了後に返却される形が一般的です。

2026年9月現在、ZINE専門店だけでなく、独立系書店、ブックカフェ、オンラインZINE専門店まで販売先は広がっています。ただし、手数料30%の店もあれば、出品料を先に払う代わりに販売手数料がかからない店もあります。

現在の受付状況と条件を公式情報で確認しながら、ZINEを委託販売できる書店・サービスを比較します。

募集状況・手数料・販売条件は2026年9月18日時点で確認しています。受付休止や条件変更もあるため、申し込み直前にも公式情報を確認してください。

ZINEを委託販売できる書店・サービス比較

ZINEの売り場

まず違いをまとめると次の通りです。

書店・サービス地域販売方式販売手数料初期費用2026年9月18日時点
Space Utility TOKYO東京・中目黒委託30〜35%なし受付中
シカク大阪・此花区委託30%なし申込受付あり
HOCCH東京・江古田委託個別相談なし受付中
青山ブックセンター本店東京・表参道直接取引個別相談個別相談メール相談受付
MOUNT ZINE東京・駒沢期間制出品なし13,200円/タイトル※MZ31MZ31受付終了
ZINE十色オンライン委託10%基本料金あり受付あり
BOOKSHOP TRAVELLER東京・祖師谷棚貸しなし月4,400円募集時期を確認

販売手数料だけを見ると判断を誤りやすくなります。

出品料、送料、納品部数、販売期間、オンライン販売の有無まで含めて比較します。

Space Utility TOKYO|初期費用なし、年間を通してエントリー可能

中目黒にあるSpace Utility TOKYOは、ZINE、雑貨、フリーペーパー、リソグラフなどを扱うスペースです。

2026年8月更新の公式案内では、ZINEの出品エントリーを年間を通して受付。出品費用はかかりません。

毎月開催するZINEイベントの前後のみ、一時的に受付を休止します。

販売手数料は、納品・返却・精算を来店で行えるかによって変わります。

条件販売手数料
来店できる30%
配送・振込を利用35%
出品費用0円

1冊1,000円のZINEが店頭で売れた場合、販売手数料30%なら作者の取り分は700円です。

最大2タイトル、各5冊まで

通常のZINEは、

  • 2タイトルまで
  • 各5冊まで
  • 2,000円以上のZINEは各3冊まで
  • 別途、見本誌1冊

という条件です。

預かり期間は基本3か月で、作者側からの延長はできません。完売した場合は、店舗側から追加納品を相談されることがあります。

大量に預ける方式ではなく、少部数を入れ替えながら見せる売り場です。

オンラインストアにも掲載できる

希望すればSpace Utility TOKYOのオンラインストアへの掲載も可能です。掲載料は無料。

ただしオンライン販売では、店頭の販売手数料に加えて決済・サービス利用料が発生します。公式案内では、オンライン分についてBASEの決済手数料3.6%+40円とサービス利用料3%を案内しています。

店頭だけ、オンラインも掲載、どちらも選べます。

Space Utility TOKYOが向いている人

  • 東京でZINEを委託したい
  • 初期費用をかけたくない
  • まず5冊程度から置きたい
  • ZINEらしい売り場へ置きたい
  • 店頭と通販の両方を試したい
  • 写真、イラスト、文章などジャンルを限定したくない

中目黒という立地もあり、ZINEだけではなくアートやリソグラフなどに興味を持つ人へ接点を作りやすい販売先です。

Space Utility TOKYO

シカク|ZINE・同人誌を継続的に募集する大阪のショップ

大阪市此花区にある「シカク」は、ZINEや同人誌など一般流通していない自主制作本の委託販売を公式に募集しています。

販売場所は、

  • 実店舗
  • オンラインショップ
  • シカクが参加するイベント

など。

販売価格の30%がシカクの販売手数料となり、作者へ70%が支払われます。

項目条件
販売手数料30%
作者取り分70%
納品部数シカク側から提案
店頭販売
オンライン販売
イベント販売
審査あり

ZINEだけでなく同人誌・リトルプレスにも対応

対象は、「ZINE・同人誌・リトルプレスなど、一般に流通していない小部数発行の本」です。

ISBNが付いた一般流通書籍は、この委託制度の対象外となっています

ISBNとは、書籍を識別するために世界共通で付けられる番号です。一般の商業出版物では多くの本にISBNが付いていますが、個人制作ZINEでは付けないことも一般的です。

いきなり作品を送らない

シカクでは、最初に公式フォームから委託審査を申し込みます。

その後、

  • 申込内容の確認
  • サンプル送付
  • 審査
  • 取扱決定
  • 発注
  • 納品

という順番です。

申し込みをせず、突然サンプルを郵送したり店舗へ持ち込んだりした場合は審査を断ると明記されています。

ZINEを本屋へ置きたいときに「直接持って行けば見てもらえる」と考えがちですが、店側の受付方法を先に確認することが重要です。

半年以上動きがない場合は返品されることも

半年以上売れ行きの少ない商品は、返品を依頼される場合があります。

納品・返品送料や売上振込時の振込手数料は作者負担です。

その代わり、売れ続けているZINEであれば長期販売につながる可能性があります。

シカク

HOCCH|3〜5冊から始められる江古田のギャラリー&ブックカフェ

東京都練馬区・江古田にある「HOCCH gallery & book cafe」でもZINEの委託販売を受け付けています。

販売期間は基本2か月。初回の納品部数は3〜5冊程度が目安です。

項目条件
委託期間基本2か月
初回納品3〜5冊程度
販売価格自由
手数料作者希望をもとに相談
精算委託期間終了時
振込手数料HOCCH負担

手数料を相談できるのが特徴

HOCCHでは、販売手数料を一律に設定していません。

作者側から、「作家取り分70%希望」などの希望条件を出し、相談したうえで決定します。公式ページでは、1,000円のZINEについて手数料400円・作者取り分600円という例も掲載されています。

掛け率(かけりつ)とは、販売価格に対して作者・仕入れ側が受け取る割合を表す言葉です。たとえば「作家6掛け」なら、1,000円の商品について作者が600円を受け取ります。

POPや紹介文も置ける

作者がPOP、紹介文、帯などを用意すれば、店頭で設置してもらえます。

見本誌を1冊用意し、来店客が中を読める状態にすることも可能です。見本誌は返却されません。

少部数から試したい人には扱いやすい条件です。

HOCCH

青山ブックセンター本店|表参道の大型書店にも自主制作ZINEを相談できる

青山ブックセンター本店は、公式サイトで自費出版や自主制作ZINEの販売協力を行っていると明記しています。

ただし、MOUNT ZINEやシカクのように一律の手数料・納品数を公開している方式ではありません。

取引詳細はメールで個別相談となります。

項目条件
ZINE取扱相談
手数料個別相談
納品部数
審査・選定
店舗青山ブックセンター本店

ZINE専門店ではないことが、逆に特徴になります。

店内ではデザイン、写真、アート、イラスト、文学などの一般書籍も扱われています。その中へZINEが並べば、「ZINEを買いに来た人」以外へ届く可能性があります。

どんなZINEでも置いてもらえるわけではない

「販売の協力を行っている」ことと、「申し込めば必ず置かれる」ことは別です。

まず作品の概要を整理して相談するのが良いでしょう

送る情報としては、

  • タイトル
  • 作者名
  • ZINEの内容
  • サイズ
  • ページ数
  • 定価
  • 希望納品数
  • 表紙・中面画像
  • 公式サイトやSNS

くらいまでまとめておくと、店側も判断しやすくなります。

青山ブックセンター本店

MOUNT ZINE|販売手数料なしで約5か月展示・販売

駒沢のZINE専門店「MOUNT ZINE」では、春と秋の年2回、作品を募集しています。

ジャンル不問で、原則として出品審査なし。店頭とオンラインストアの両方で販売されます。

2026年秋の「MOUNT ZINE 31」は、2026年6月26日〜9月15日が募集期間でした

MZ31の条件は次の通りでした。

項目MOUNT ZINE 31
出品料13,200円(税込)/1タイトル
販売手数料なし
販売期間約5か月
販売場所店舗+オンライン
サイズB5以下・厚さ1cm以下
販売価格330〜2,200円
初回納品5部または10部
審査原則なし

この記事を更新している2026年9月18日時点ではMZ31の受付は終了しています。次回募集は公式サイト・SNSを確認してください。

売上から販売手数料を引かれない代わりに、最初に出品料を支払います。

何冊売れば出品料を回収できる?

たとえば1冊1,100円のZINEなら、13,200円 ÷ 1,100円 = 12冊 です。

印刷費や送料を考えなければ、12冊売れると出品料分の売上になります

ただし初回納品は5冊または10冊なので、販売期間中に完売すれば追加納品する形です。

MOUNT ZINEは利益だけでなく、

  • ZINE専門店へ約5か月置ける
  • オンラインでも販売される
  • SNSで作品を紹介される
  • ZINEを探している読者へ届く

ところまで含めて判断したいサービスです。

MOUNT ZINE

ZINE十色|オンラインだけで1年間委託販売

実店舗へ本を送り続ける以外に、ZINE専門のオンライン書店へ委託する方法もあります。

2026年6月に正式オープンした「ZINE十色」は、ZINE・リトルプレス・軽出版物専門のオンライン書店です。紙のZINEだけでなく、PDFによるデータ販売にも対応しています。

販売期間は原則1年間。販売手数料は販売価格の10%で、残り90%が作者へ支払われます。

項目条件
販売場所オンライン
販売期間1年間
委託販売手数料10%
初期費用プラン別基本料金あり
紙ZINE
PDF販売
ジャンル原則自由

販売手数料だけなら低めですが、申し込み時にプランごとの基本料金があります。

「販売手数料10%だから他店より必ず安い」という見方はせず、基本料金+販売手数料+送料まで含めて考えます。

作品紹介付きプランもある

ZINE十色には、運営側が作品を読み、note・メルマガ・Instagram・公式サイトなどで作品を紹介するプランも用意されています。

イベントへ出られない、近くにZINEを扱う店がない、といった人でも販売先を増やせます。

海外配送にも対応しているため、日本国外へ作品を届けたい場合にも候補です。

ZINE十色

BOOKSHOP TRAVELLER|委託ではなく「自分の棚」を借りる方法

一般的な委託販売とは違いますが、もう一つ知っておきたいのがシェア型書店です。

祖師ヶ谷大蔵のBOOKSHOP TRAVELLERでは、店内のボックス本棚を借りて、自分の小さな本屋を運営する「ひと箱店主」制度があります。

利用料は月4,400円。売上に対する販売手数料は取られず、売上は全額棚主へ渡されます。

項目条件
月額4,400円
販売手数料なし
棚サイズ約30×45〜50×21cm
販売物本・ブックカルチャー関連商品
審査あり
ZINE制作設備あり

ZINEだけでなく、

  • 自分の既刊ZINE
  • 好きな本
  • リトルプレス
  • 関連グッズ

などを組み合わせ、自分の店として編集できます。

ただし通常の委託とは違い、棚作りや在庫管理にも作者自身が関わります。

2026年1月に行われた第7期募集は終了しています。今後の新規募集については公式ページを確認してください。

BOOKSHOP TRAVELLER

そのほかにもZINE委託を受け付ける場所はある

ZINEの販売先は専門店だけではありません。

たとえば「私設図書館すやちい」は、2026年にZINEや同人誌の委託販売を行っており、販売手数料なしと案内しています。販売用とは別に館内閲覧用の見本を1冊預ける方式です。

全国には、

  • ブックカフェ
  • ギャラリー
  • シェア型書店
  • 雑貨店
  • 古書店
  • コーヒーショップ

などでZINEを扱う店もあります。

「ZINE専門店ではないから売れない」とは限りません。

コーヒーZINEならカフェ、旅行ZINEなら旅行関連ショップ、写真ZINEならギャラリーなど、内容と店の客層が合っているかを考える方が重要です。

委託販売の手数料はいくら?

今回、条件を公開している店舗を見ると、

販売先手数料
Space Utility TOKYO30〜35%
シカク30%
HOCCH個別相談
MOUNT ZINE0%+出品料
ZINE十色10%+基本料金
BOOKSHOP TRAVELLER0%+棚代

という形です。

一般的な「売れたら30%を店へ払う」という方式以外にも選択肢があります

たとえば1冊1,500円なら、

販売手数料店側作者側
30%450円1,050円
35%525円975円
40%600円900円

となります。

ここから印刷原価を引きます。

印刷原価が700円なら、手数料40%では作者側に残る900円から700円を引き、1冊あたり200円です。

委託販売を考えているなら、印刷する前から販売手数料まで想定して定価を決めた方が安全です。

「買取」と「委託」は違う

書店との取引では「買取」という言葉も出てきます。

委託販売では、売れるまで本の所有者は基本的に作者側です。

売れ残れば戻ってきます

一方の買取販売では、書店が作者から商品を仕入れます。仕入れた時点で書店側の在庫になるため、原則として売れ残りを作者へ戻す委託とは性格が違います。

Space Utility TOKYOでは委託を基本としながら、納品後に店舗側から買取への変更を提案する場合があります。

現在、作者側から買取を希望する受付は行っていません。

何冊預ければいい?

最初から20冊、30冊送る必要はありません。

今回確認したサービスでも、

  • Space Utility TOKYO:各5冊まで
  • HOCCH:3〜5冊程度
  • MOUNT ZINE:初回5冊または10冊

と、少部数から始めるところが多くあります。

小さな書店は棚のスペースも限られています。

  • 5冊預ける
  • 完売する
  • 追加納品する

という流れの方が店舗にも作者にも扱いやすくなります。

委託をお願いするときに用意する情報

問い合わせ前に、最低限以下をまとめておきます。

  • ZINEタイトル
  • 作者名
  • 内容紹介
  • サイズ
  • ページ数
  • 発行日
  • 販売価格
  • 希望納品数
  • 表紙画像
  • 中面の画像
  • SNS・Webサイト
  • 取引希望条件

店舗によっては現物サンプルを求めます。

いきなり発送せず、必ず公式の応募方法を確認してください。

特にシカクは、申し込み前の突然の郵送・持ち込みを断ると明記しています。

OPP袋は必要?

店舗によって異なります。

OPP袋とは、透明で光沢のある包装袋です。本を汚れや擦れから守るため、同人誌やZINEの販売でもよく使われます。

Space Utility TOKYOではZINEをOPP袋へ入れ、価格タグを付けるよう案内しています。有料で袋詰めを依頼することもできます。

シカクでは必須ではありませんが、薄い本、トレーシングペーパー表紙、傷が付きやすい本などはOPP袋への封入を推奨しています。

納品前に各店舗のルールを確認します。

見本誌を1冊用意しておく

委託販売では、販売用とは別に「見本誌」を求められることがあります。

MOUNT ZINE、Space Utility TOKYOなどでも見本誌が必要です。

見本誌があれば購入前に中身を確認できます。

ZINEは一般書籍ほどオンラインレビューや中身の情報が多くありません。

表紙だけでは判断できない作品ほど、店頭で読める見本が購入につながることがあります。

印刷部数を決めるときは、販売分+見本誌1冊まで計算しておくと安心です。

書店の客層とZINEを合わせる

置いてもらえる店を片っ端から増やせばいいとは限りません。

写真ZINEなら写真・アートに強い店。

社会やジェンダーを扱ったZINEなら、その分野の本を積極的に扱う店。

文芸ZINEなら文芸系独立書店。

店の棚を見て、「このZINEを買いそうな人が、この店へ来ているか」を考えます。

委託販売は、SNSのフォロワーとは違う読者へ出会えることが魅力です。

だからこそ、「置ける店」より「置いてほしい店」を選ぶ方が意味があります。

イベント後の在庫をそのまま委託するのもいい

ZINEを30冊刷ったとします。

イベントで15冊売れた。残り15冊。

その全部を自宅で通販するのではなく、

自宅通販:5冊
書店A:5冊
書店B:5冊

と分ける方法があります。

イベントでの初動が終わったあとも、別の場所でZINEが読者を待ち続けます。

ZINEは発売日から一週間で勝負する商業出版とは違います。

半年後に棚で偶然見つけられ、そこから作者を知ってもらうこともあります。

委託販売の魅力は、自分が宣伝していない時間にも、本が誰かと出会えることです。

初めて委託するならどこがいい?

条件別なら次のように考えられます。

希望候補
初期費用0円で始めたいSpace Utility TOKYO
大阪で委託したいシカク
3〜5冊から試したいHOCCH
表参道の書店へ相談したい青山ブックセンター
ZINE専門店へ長期間置きたいMOUNT ZINE
オンラインだけで委託したいZINE十色
自分自身で棚を編集したいBOOKSHOP TRAVELLER

どれか一つだけを選ぶ必要はありません。

最初は1店舗。慣れてきたら別の地域にも1店舗。イベントと通販も並行する。

少しずつ販売先を増やした方が、在庫管理もしやすくなります。

委託販売は「本を預けて終わり」ではありません。

作品に合う棚を探し、その店へ来る人との接点を作る方法です。

イベントで直接手渡すのとは違う形で、ZINEが作者から離れて、一人で読者を探し始めます。

関連リンク

Space Utility TOKYO|ZINE出品案内
シカク|委託販売規約
HOCCH|ZINE委託販売について
青山ブックセンター|販売店として使う
MOUNT ZINE
ZINE十色|作品販売申請
BOOKSHOP TRAVELLER|棚を借りる

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