国内外から応募された2,101点のデザイン作品から選ばれた優秀作品を展示する「日本タイポグラフィ年鑑2026作品展」が、2026年10月13日(火)から22日(木)まで、大阪・南船場のペーパーボイス大阪で開催されます。
展示では、ロゴタイプ・シンボルマーク、ビジュアル・アイデンティティ(VI)、タイプフェイス、グラフィック、エディトリアルなど、文字を中心とした幅広いデザイン表現を紹介。今年度はロゴ部門への応募が過去最多の1,138点に達しており、選出された作品から近年のロゴデザインの傾向を知ることができます。
10月16日(金)には、年鑑の編集長とアートディレクターによる無料トークイベントも予定されています。
応募総数2,101点。ロゴ部門は過去最多の1,138点

「日本タイポグラフィ年鑑」は、日本タイポグラフィ協会が発行するデザイン年鑑です。
1969年に『日本レタリング年鑑』として創刊され、2026年度版で通算47冊目を迎えました。
国内外から作品を公募し、審査を経て選ばれた優秀作品を記録するもので、文字の造形や配置、文字を用いた視覚表現などを幅広く扱っています。
2026年度は2,101点の応募があり、その中から481点が年鑑に掲載されました
特に応募が多かったのが、ロゴタイプ・シンボルマーク部門です。
今年度の応募数は1,138点に達し、過去最多を記録しました。
ロゴは企業や店舗だけでなく、商品、イベント、施設、地域のプロジェクトなど、さまざまな場面で使用されています。
文字を使ったロゴもあれば、図形を中心としたシンボルマーク、文字と図形を組み合わせたものもあります。
一見すると単純な造形でも、線の太さや文字間隔、形のバランスなど、細部の調整によって印象が変わるのがロゴデザインの面白いところです。
今回の展示では、こうしたロゴを含む優秀作品を、ほかのデザイン表現とともに見ることができます。
ロゴだけではない、10カテゴリーのタイポグラフィ作品
「タイポグラフィ」という言葉から、書体のデザインや文字組みを思い浮かべる人も多いでしょう。
ただし、日本タイポグラフィ年鑑が扱う領域は、文字そのものの造形だけではありません。
文字を使って情報やイメージを伝えるデザイン全般が対象となっており、
- ロゴ
- VI
- グラフィック
- エディトリアル
- パッケージ
など、幅広い作品が収録されています。
タイプフェイス・ロゴ・VIの違い
タイプフェイスは、文字の形を統一された設計方針で作った書体を指します。
明朝体やゴシック体のように、多数の文字を一定のルールで設計するものです。
一方、ロゴタイプは、企業名や商品名など、特定の文字列を識別しやすい形にデザインしたものです。既存の書体を調整して作る場合もあれば、文字を一から描き起こす場合もあります。
VIはVisual Identityの略で、企業やブランドの特徴を視覚的に伝えるための仕組みです。
ロゴだけでなく、使用する色や書体、写真、グラフィックの扱い方などを含めて設計することがあります。
今回の展示では、こうした異なる役割を持つデザインを比較できます。
書籍やパッケージのデザインにも
エディトリアルデザインは、書籍や雑誌、冊子などの編集物を対象としたデザインです。
文字の大きさや行間、余白、写真の配置などを調整し、内容を読みやすく、伝わりやすい形にまとめます。
書籍の本文組版では、長い文章を無理なく読めることが重要になりますが、表紙や扉では、作品の内容や雰囲気を伝えるために特徴的な文字表現が使われることもあります。
パッケージデザインでも、文字の扱いは重要です。
- 商品名をどの程度大きく見せるのか
- 説明文をどう整理するのか
- ブランドの特徴をどのように伝えるのか
限られた面積の中で、さまざまな情報を配置する必要があります。
文字が中心となるデザインでも、求められる役割は媒体によって異なります。
グランプリは「人吉温泉 あゆの里」のVI

2026年度のグランプリを受賞したのは、茂村巨利さんが手がけた「人吉温泉 あゆの里」です。
同作品は、ビジュアル・アイデンティティ部門から選ばれました。
VIは、ロゴ単体の完成度だけでなく、ブランド全体でどのような視覚表現を使用するかという点にも関わるデザインです。
店舗や施設の場合、ロゴは看板、案内表示、印刷物、Webサイトなど、さまざまな場所で使用されます。
そのため、ひとつのロゴを美しく仕上げるだけでなく、異なる媒体に展開したときにも同じブランドとして認識できることが重要になります。
今年度は、こうしたVIの作品がグランプリに選ばれました。
各部門のベストワーク賞にも多彩な作品
日本タイポグラフィ年鑑では、グランプリのほかに、各部門の優秀作品を表彰するベストワーク賞や、審査委員賞などが設けられています。
2026年度の主な受賞作品には、次のようなものがあります。
| 部門 | 作品名 | 制作者 |
|---|---|---|
| グランプリ・VI | 人吉温泉 あゆの里 | 茂村巨利さん |
| VI | 黒の芸術 | 小玉文さん |
| VI | 北のはしベーカリー | 鎌田順也さん、三本木千和さん |
| ロゴタイプ・シンボルマーク | 石切 | 田畑知彦さん |
| グラフィック | 新美南吉の言葉と図象 | 白澤真生さん |
| グラフィック | 桑沢賞 賞状 | 渡辺和音さん |
これらは協会が公表している受賞作品の一部です。
大阪会場での個別作品の展示状況については、公式案内をご確認ください。
ロゴデザインの参考を探している人にも

ロゴデザインの参考資料を探すとき、完成したロゴの画像だけを見ていると、どうしても形や配色に目が向きがちです。
もちろん、文字の造形や色の使い方を研究することは大切ですが、実際の仕事では、そのロゴが何を表すために作られたのかも考える必要があります。
たとえば、飲食店のロゴと公共施設のロゴでは、伝えたい印象や使用される場所が異なります
飲食店では商品の特徴や店舗の雰囲気を伝えることが重要になるかもしれませんし、公共施設では幅広い利用者にとってのわかりやすさが求められる場合もあります。
また、同じ業種であっても、ブランドの方向性によって適切な表現は変わります。
こうした違いを考えながら作品を比較すると、単に好きなロゴを探すだけでは気づかなかった発見があるでしょう。
文字の細部にも注目したい
ロゴや書体のデザインを見るときは、全体の印象だけでなく、文字の細部にも目を向けたいところです。
たとえば、
- 文字の角が丸いか鋭いか
- 線の太さに強弱があるか
- 文字同士の間隔をどのように調整しているか
こうした要素は、それぞれ小さな違いに見えても、組み合わさることでデザイン全体の印象を左右します。
特に日本語のロゴでは、漢字、ひらがな、カタカナをどのように組み合わせるかによっても表情が変わります。
既存のフォントをそのまま使う場合と、文字の一部を調整する場合では、完成したロゴの印象が異なることもあります。
今回の作品展は、そうした文字の扱い方を研究する機会にもなりそうです。
10月16日には年鑑の編集長・アートディレクターによるトークイベント

会期中の10月16日(金)には、トークイベント「日本タイポグラフィ年鑑2026『編集後記』」が開催されます。
登壇するのは、年鑑2026の編集長を務めたコン トヨコさんと、アートディレクターの新海宏枝さんです。
開催時間は18:00〜19:00で、19:30閉場予定です。
参加費は無料ですが、事前申し込みが必要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| イベント名 | 日本タイポグラフィ年鑑2026「編集後記」 |
| 開催日 | 2026年10月16日(金) |
| 時間 | 18:00〜19:00 |
| 閉場 | 19:30 |
| 登壇者 | コン トヨコさん、新海宏枝さん |
| 参加費 | 無料 |
| 申し込み | 事前申込制 |
年鑑は、優れた作品を選び、掲載順序や誌面構成を考え、一冊の書籍としてまとめる編集物でもあります。
掲載作品そのものに加え、年鑑がどのように作られたのかに関心がある人にとっても、気になるトークイベントでしょう。
申し込みは、平和紙業の公式イベント案内から受け付けています。
書籍『日本タイポグラフィ年鑑2026』も発売中
今回の展示に関連する書籍『日本タイポグラフィ年鑑2026』は、2026年4月13日にパイ インターナショナルから発売されています。
同書には、2,101点の応募作品から選ばれた481点が掲載されています。
ロゴタイプ・シンボルマーク、VI、タイプフェイス、グラフィック、エディトリアルなど、10カテゴリーの作品を収録したデザイン年鑑です。
書籍情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | 日本タイポグラフィ年鑑2026 |
| 編集 | NPO法人日本タイポグラフィ協会 |
| 出版社 | パイ インターナショナル |
| 発売日 | 2026年4月13日 |
| 定価 | 14,300円(税込) |
| 判型 | A4判 |
| ページ数 | 288ページ |
| 製本 | ハードカバー |
| ISBN | 978-4-7562-6083-3 |
| 掲載作品 | 481点 |
書籍はフルカラーで、優秀作品を分野別に収録しています。
会場で気になった作品について、後から詳しく確認したい場合にも参考になる資料です。
なお、書籍の掲載作品数と大阪会場の展示作品数は同一とは限りません。
日本タイポグラフィ年鑑2026作品展 大阪の開催概要
「日本タイポグラフィ年鑑2026作品展 大阪」は、2026年10月13日(火)から22日(木)まで開催されます。
会場は、大阪市中央区南船場にある平和紙業のペーパーボイス大阪です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | 日本タイポグラフィ年鑑2026作品展 大阪 |
| 会期 | 2026年10月13日(火)〜22日(木) |
| 開催時間 | 9:00〜17:00 |
| 休館日 | 土・日曜日 |
| 最終日 | 14:00まで |
| 会場 | 平和紙業 ペーパーボイス大阪 |
| 住所 | 大阪市中央区南船場2-3-23 |
| 主催 | NPO法人日本タイポグラフィ協会 |
会期中は土曜日と日曜日が休館となるため、来場する場合は注意してください。
また、最終日の10月22日(木)は14:00で終了します。
10月16日(金)には無料のトークイベントも開催されますが、こちらは別途申し込みが必要です。
文字を使ったデザインの現在地を知る機会
ロゴや書体は、日常生活の中で目にする機会が多いデザインです。
看板や商品パッケージ、書籍の表紙など、さまざまな場所で使われていますが、普段は文字の形そのものを意識することは少ないかもしれません。
一方、デザインを制作する立場になると、文字の選び方や配置、形の調整によって、伝わる印象が大きく変わることに気づきます。
「日本タイポグラフィ年鑑2026作品展」は、そうした文字のデザインを、優秀作品を通じて見ることができる展示です。
ロゴや書体の制作に携わる人はもちろん、装丁やエディトリアルデザイン、パッケージデザインなどに関心がある人にとっても、参考になる作品が見つかるでしょう。
大阪展は10月13日から22日まで。土日は休館となるため、来場を予定している人は開催日と時間を確認してください。
関連リンク
平和紙業|日本タイポグラフィ年鑑2026作品展 大阪・開催案内
日本タイポグラフィ協会|公式サイト
日本タイポグラフィ協会|日本タイポグラフィ年鑑2026受賞作品
パイ インターナショナル|『日本タイポグラフィ年鑑2026』公式書籍ページ