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無料のPhotoshop・Illustrator代替「PhotoCraft」「VectorCraft」が日本語対応。PSD・AIファイルも編集可能に

PhotoshopやIllustratorに近い操作環境を持つ無料のオープンソースソフト「PhotoCraft」「VectorCraft」が、日本語UIや日本語フォントに対応しました。2026年10月7日に公開されたアップデートでは、日本語入力への対応に加え、ベクター編集ソフトのVectorCraftで縦書きや文字組み機能の改善も行われています。

両ソフトは、既存の商用デザインソフトの操作環境を独自のコードで再実装する「Crafting Apps」プロジェクトの一部です。Windows、macOS、Linux向けに提供されており、無料でダウンロードできます。

PhotoshopのPSDファイルや、IllustratorのPDF互換AIファイルにも対応していますが、現時点では開発途上のソフトです。既存の制作環境を完全に置き換えられる段階ではないものの、日本語対応によって国内のクリエイターも試しやすくなりました。

Photoshop・Illustratorの無料代替を目指す「Crafting Apps」とは?

Crafting Appsは、画像編集やベクター編集、動画編集、DTPなどのソフトウェアをオープンソースで開発するプロジェクトです。

開発を進めているのはArtCraft Team。PhotoshopやIllustratorなどの商用ソフトに近い操作環境を、プログラミング言語「Rust」を使って独自に実装しています。

Rustは、処理速度やメモリ安全性を重視して設計されたプログラミング言語です。デスクトップアプリケーションのほか、システム開発などにも利用されています。

Crafting Appsでは、既存ソフトのコードを流用せず、公開されている仕様や動作を参考にして機能を再実装する方法を採用しています。

こうした開発手法は「クリーンルーム実装」と呼ばれます。

画像編集からDTPまで、7種類のソフトを開発

Crafting Appsでは、現在7種類のアプリケーションが公開されています。

ソフト名主な用途参考にしている商用ソフト
PhotoCraft画像編集・レタッチPhotoshop
VectorCraftベクター編集・イラスト制作Illustrator
FilmCraft動画編集Premiere Pro
LightCraft写真管理・RAW現像Lightroom
PdfCraftPDF編集Acrobat Pro
EffectCraftモーショングラフィックスAfter Effects
DesignCraftページレイアウト・DTPInDesign

いずれも無料のオープンソースソフトとして開発されています。

ただし、7種類すべてが商用ソフトと同じ機能を備えているわけではありません。各アプリケーションで開発状況が異なり、未実装の機能や互換性の問題も残っています。

今回、日本語対応が進んだのは、画像編集ソフトのPhotoCraftとベクター編集ソフトのVectorCraftです。

PhotoCraftとは? Photoshopに近い無料の画像編集ソフト

PhotoCraftは、Photoshopの操作環境を参考に開発された画像編集ソフトです。

レイヤー、マスク、調整レイヤー、ブラシ、テキスト、ベクターシェイプなど、画像編集で使われる機能を備えています。

画面構成やメニュー、ショートカットキーもPhotoshopに近い設計となっており、普段からPhotoshopを使っている人が操作を覚えやすいように作られています。

レイヤーを使った画像編集に対応

PhotoCraftでは、画像を複数のレイヤーに分けて編集できます。

たとえば、背景写真の上に人物の画像を配置し、その上にタイトル文字を重ねるといった編集ができます

レイヤーマスクにも対応しているため、画像の一部を直接消去せず、表示する範囲を調整することもできます。

さらに、

  • トーンカーブ
  • 色相・彩度などの調整レイヤー
  • レイヤースタイル
  • スマートオブジェクト

なども実装されています。

調整レイヤーは、元の画像を直接変更せずに、明るさや色味を調整する機能です。設定を後から変更できるため、写真のレタッチや画像合成などで利用されています。

PSDファイルの読み書きにも対応

PhotoCraftは、Photoshopの標準的なファイル形式であるPSDに対応しています。

PSDは、画像だけでなく、レイヤーやマスク、テキストなどの編集情報を保存できるファイル形式です。

一般的なJPEGやPNGとは異なり、画像を構成する要素を分けたまま保存できます。

PhotoCraftではPSDファイルを開き、編集したうえで再保存できます。大容量のPhotoshopドキュメントで使用されるPSB形式にも対応しています。

ただし、すべてのPSDファイルを完全に再現できるわけではありません。

Photoshop独自の機能や複雑なレイヤー効果を使用したファイルでは、開いたときの見た目や再保存後の編集情報が変わる可能性があります。

既存のPSDを編集する場合は、元ファイルを複製してから試すのが安全です。

PhotoCraftが日本語UI・日本語入力に対応

2026年10月7日に公開されたPhotoCraft v0.3.0では、日本語への対応が進みました。

今回の更新によって、日本語UIを選択できるようになったほか、テキストツールで日本語入力が利用できるようになっています。

日本語フォントを使った文字入れが可能に

以前のバージョンでは、日本語の入力や表示に制限がありました。

今回の更新では、日本語を含むCJK文字への対応が追加されています。

CJKとは、中国語(Chinese)、日本語(Japanese)、韓国語(Korean)の頭文字を組み合わせた呼び方です。

日本語フォントを使用できるようになったことで、写真への日本語タイトルの追加や、バナー制作などにも利用しやすくなりました。

また、日本語入力システムであるIMEにも対応しています。

IMEは、キーボードから入力した文字を漢字やかなに変換するための仕組みです。

日本語を扱う画像編集ソフトでは、フォントの表示だけでなく、入力途中の変換候補や文字の確定処理が正しく動作することも重要になります。

日本語UIへの切り替え方法

PhotoCraftでは、設定画面から表示言語を変更できます。

  • 「Edit」から「Preferences」を開く
  • 「Interface」の言語設定を選択
  • 日本語を選択

日本語表示に対応したメニューや設定項目を利用できるため、英語の操作画面に慣れていない人も試しやすくなっています。

ただし、翻訳の完成度や一部の画面表示については、今後も改善が続く可能性があります。

VectorCraftとは? Illustratorの代替を目指す無料ベクター編集ソフト

VectorCraftは、Illustratorに近い操作環境を持つベクター編集ソフトです。

ベクター形式は、点や線、曲線などの情報を使って図形を表現する方式です。

写真のようにピクセルを並べて画像を作るラスター形式とは異なり、拡大・縮小しても輪郭が滑らかに保たれるという特徴があります。

そのため、ロゴやアイコン、図形を中心としたイラスト、印刷物のデザインなどに利用されています。

ペンツールやパスファインダーに対応

VectorCraftでは、ベクター編集に必要な基本機能が実装されています。

主な機能は次のとおりです。

  • ペンツールによるパスの作成・編集
  • ダイレクト選択ツールによるアンカーポイントの調整
  • パスファインダーによる図形の合成・切り抜き
  • グラデーションや透明度の設定
  • クリッピングマスク
  • 複数アートボードの管理
  • スマートガイドによる位置合わせ
  • 文字の入力・編集
  • SVG・PDF形式での入出力

Illustratorを使用した経験があれば、馴染みのある機能も多いでしょう。

たとえば、複数の図形を重ねて合成したり、ペンツールで描いた曲線を調整したりする作業ができます

また、

  • グラデーションメッシュ
  • ブレンド
  • エンベロープ

など、より複雑なベクター表現に関わる機能も実装されています。

ただし、Illustratorのすべての機能が再現されているわけではありません。

VectorCraftは日本語の縦書きや文字組みにも対応を進める

VectorCraftの日本語対応では、文字を表示するだけでなく、日本語特有の組版処理も開発されています。

2026年10月7日に公開されたv0.4.0では、日本語IME入力や縦書きに関わる機能の改善が行われました。

続くv0.5.0では、日本語UIの拡充に加え、日本語の文字組み処理も追加されています。

日本語の縦書きに対応

VectorCraftでは、縦書きテキストを扱うための機能が実装されています。

縦書きは、小説や漫画、書籍のタイトルなど、日本語の印刷物で広く使われる組版方法です。横書きの文字列を単純に90度回転させるだけでは、正しい縦書きにはなりません。

たとえば、句読点や括弧などは縦書きに合わせた字形や配置が必要です。また、英数字を縦組みの中でどのように扱うかも考えなければなりません。

VectorCraftでは、こうした日本語の縦書き処理について、段階的に実装が進められています。

ただし、現時点では縦書きの組版機能が完成しているわけではありません。

小説本文のような長文や、複雑な縦組みレイアウトを制作する場合は、十分な検証が必要です。

禁則処理にも対応

日本語の文字組みでは、禁則処理も重要です。

禁則処理とは、句読点や括弧などが不自然な位置に配置されないようにするための処理です。

たとえば、閉じ括弧や句点が行頭に来たり、開き括弧が行末に残ったりすることを防ぎます。

VectorCraftでは、日本語の禁則処理や、縦書き中の数字を横向きに並べる縦中横などの機能が実装されています。

また、日本語と欧文を組み合わせた際の文字間隔調整にも対応が進められています。

これらは、日本語を使った印刷物のデザインで必要になる機能です。

単に日本語が入力できるだけでなく、文字をどのように並べるかまで扱えるようになっている点は、今回の更新で確認しておきたい部分でしょう。

IllustratorのAIファイルはVectorCraftで開ける?

VectorCraftは、IllustratorのAIファイルの読み込みに対応しています。

ただし、対象となるのはPDF互換形式のAIファイルです。

IllustratorのAIファイルには、Illustrator独自の編集情報が含まれています

また、保存時にPDF互換ファイルを作成する設定を有効にすると、ほかのアプリケーションでも読み込めるPDF形式の情報が含まれます。

VectorCraftでは、このPDF互換情報を利用してAIファイルを読み込みます。

AIファイルを完全に編集できるわけではない

PDF互換のAIファイルを開けることと、Illustratorで作成したデータを完全に編集できることは別です。

Illustrator独自の効果や設定を使用している場合、読み込み後に一部の情報が失われたり、見た目が変わったりする可能性があります。

また、使用されているフォントが見つからない場合には、別のフォントへ置き換わることがあります。

今回のアップデートでは、日本語テキストの読み込みに関する改善も行われていますが、すべてのAIファイルで同じ結果が得られるとは限りません。

既存のIllustratorデータを編集する場合は、元のファイルを残したうえで、文字や図形、レイヤーなどが正しく読み込まれているか確認してください。

PhotoCraftとVectorCraftは無料で商用利用できる?

PhotoCraftとVectorCraftは、MITライセンスとApache License 2.0のもとで公開されています。

どちらも商用利用を認めるオープンソースライセンスです。

そのため、アプリケーションを無料で使用し、仕事用の画像やデザインを制作することもできます。

ただし、ソフトウェアのライセンスと、制作物に使用する素材のライセンスは別です。

たとえば、アプリケーションに収録されているフォントやアイコン、外部から読み込んだ写真やイラストなどには、それぞれ異なる利用条件が設定されている場合があります。

商用制作で使用する際には、ソフトウェア本体だけでなく、使用する素材のライセンスも確認する必要があります。

Windows・Mac・Linuxに対応。ダウンロード方法は?

PhotoCraftとVectorCraftは、Windows、macOS、Linux向けに配布されています。

公式サイトから各ソフトのページへ移動し、使用するOSに対応したファイルをダウンロードできます。

OS配布形式の例
Windowsインストーラー、ポータブル版
macOSDMG形式
LinuxAppImage、Flatpak、deb、rpmなど

Windowsでは、インストールせずに利用できるポータブル版も用意されています。

macOSでは、Apple SiliconとIntel Macの両方に対応するUniversal版が提供されています。

また、WebAssemblyを利用したブラウザ向けのビルドも公開されています。

WebAssemblyは、ブラウザ上でプログラムを実行するための技術です。Web向けビルドを利用すれば、対応するブラウザ環境でもアプリケーションを動かせます。

ただし、公式サイトで配布されているWeb向けファイルは、自分でホストすることを想定したものです。デスクトップ版と同じように、誰でも専用ページを開くだけですぐ利用できるとは限りません。

ダウンロードは公式サイトかGitHubから

Crafting Appsの各ソフトは、公式サイトとGitHubのリリースページから入手できます。

GitHubは、ソフトウェアのソースコードや更新履歴、公開ファイルなどを管理するためのサービスです。

各ソフトのリリースページでは、バージョンごとの変更内容や、OS別のダウンロードファイルを確認できます。

新しいソフトウェアを導入する際には、第三者が再配布しているファイルではなく、開発元が案内する配布先を利用してください。

同人誌やZINEの制作にも使える?

PhotoCraftとVectorCraftは、同人誌やZINEの制作にも利用を検討できます。

たとえば、PhotoCraftでは写真の色調補正や画像合成、表紙用の画像制作などが考えられます。

VectorCraftでは、タイトルロゴや装飾、図形を使ったイラストなどの制作に利用できます。

ただし、印刷物の制作では、画面上で正しく表示されることに加えて、印刷用データを正しく書き出せることが重要です。

CMYKやPDFに対応していても、入稿前の確認は必要

PhotoCraftは、RGBだけでなくCMYKやLabなどのカラーモードにも対応しています。

CMYKは、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色を使って色を表現する方式です。一般的なカラー印刷では、これらのインキを組み合わせて色を再現します。

また、VectorCraftはPDF形式での入出力にも対応しています。

ただし、CMYKやPDFに対応していることだけで、すべての印刷会社の入稿条件を満たせるわけではありません。

印刷会社によって、カラープロファイルやPDFの規格、塗り足し、フォントの処理などに指定があるためです。

たとえば、PDF/Xは印刷用データの受け渡しを想定したPDFの規格です。

印刷会社が特定のPDF/X形式を指定している場合、その規格に合ったファイルを作成する必要があります。

PhotoCraftやVectorCraftを印刷物の制作に使用する場合は、書き出したデータが印刷会社の入稿条件を満たしているか、事前に確認してください。

本格的なDTPでは既存ソフトとの併用も

同人誌やZINEの制作では、表紙と本文で異なるソフトを使うことがあります。

たとえば、表紙の画像編集にはPhotoCraftを使い、本文のレイアウトは普段使っているDTPソフトで行う方法です。

また、VectorCraftで作成したタイトルロゴをSVGやPDFとして書き出し、別のソフトへ配置することも考えられます。

すべての制作工程をひとつのソフトで完結させる必要はありません。

現段階では、既存の制作環境を維持しながら、一部の作業に無料ソフトを取り入れる使い方が現実的でしょう。

PhotoshopやIllustratorから乗り換えても大丈夫?

PhotoCraftとVectorCraftは、いずれも開発が続いているソフトウェアです。

機能の追加や改善が進んでいる一方で、未実装の機能や不具合も残っています。

特に、仕事で使用する場合は、ファイルの互換性と安定性を確認する必要があります。

現時点で注意したいこと

項目注意点
PSDファイル複雑な効果や編集情報が完全に再現されない可能性がある
AIファイルPDF互換形式が対象。独自の編集情報は維持できない場合がある
日本語フォントフォントの種類や環境によって表示結果が異なる可能性がある
縦書き日本語組版の機能は開発途上
印刷用PDF印刷会社が指定する規格への適合を確認する必要がある
安定性更新頻度が高く、機能や動作が変わる可能性がある
商用制作ソフト本体とは別に、素材やフォントの利用条件を確認する

開発元はGitHub上で、実装済みの機能だけでなく、未完成の機能や今後の開発予定も公開しています。

PhotoCraftでは、PSDの互換性やパフォーマンス、各種ツールの実装状況などを評価しています。

VectorCraftでも、Illustratorとの機能差や、まだ対応していない機能が明記されています。

そのため、現時点では「PhotoshopやIllustratorを完全に置き換える無料ソフト」と考えるよりも、代替を目指して開発が進んでいる新しい選択肢として捉えるのが適切です。

日本語対応で試しやすくなった無料デザインソフト

PhotoCraftとVectorCraftは、2026年10月7〜8日のアップデートで、日本語を使った制作に関わる機能が拡充されました。

PhotoCraftでは日本語UIや日本語入力、CJKフォントへの対応が進み、VectorCraftでは日本語の縦書きや文字組み、AIファイルの読み込みに関する改善も行われています。

PhotoshopやIllustratorに近い操作環境を持ちながら、無料で利用できる点は魅力です。

ただし、現時点では開発途上であり、複雑なファイルの互換性や印刷用データの作成には注意が必要です。

まずは新規の画像編集やロゴ制作など、比較的単純な作業から試し、既存の制作環境とどの程度違いがあるのか確認するのが良さそうです。

両ソフトは公式サイトからダウンロードでき、GitHubでは最新の更新内容や開発状況も公開されています。

関連リンク

Crafting Apps|公式サイト
PhotoCraft|公式製品ページ・ダウンロード
VectorCraft|公式製品ページ・ダウンロード
PhotoCraft|GitHub・最新リリース
VectorCraft|GitHub・最新リリース
PhotoCraft|ソースコード・機能一覧
VectorCraft|ソースコード・開発状況

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