Adobeのトップが約19年ぶりに交代します!
2007年からCEOを務めてきたシャンタヌ・ナラヤン氏は、CEO退任後も執行会長(Executive Chair)としてAdobeにとどまります。
PhotoshopやIllustratorの会社というだけでなく、生成AIによってクリエイティブソフトそのものが大きく変わっている時期でのトップ交代です。
12月1日から新体制へ
今回発表された変更は次の通りです。
| 役職 | 12月1日以降 |
|---|---|
| 社長兼CEO (President / CEO) | アニル・チャクラヴァーシー氏 (Anil Chakravarthy) |
| 執行会長 (Executive Chair) | シャンタヌ・ナラヤン氏 (Shantanu Narayen) |
| CEO交代日 | 2026年12月1日 |
チャクラヴァーシー氏は同時にAdobeの取締役にも就任します。
ナラヤン氏が完全にAdobeを離れるわけではなく、移行後も新CEOと連携して経営を支える体制です。
新CEOは2020年からAdobeに参加
チャクラヴァーシー氏は2020年1月にAdobeへ入社しました。
当初はDigital Experience(デジタル・エクスペリエンス)事業を担当し、その後グローバルの営業部門なども統括しています。
Adobeに入る前には、クラウドデータ管理企業InformaticaのCEOも務めていました
PhotoshopやIllustratorといったクリエイティブ製品を長年率いてきた人物がそのままCEOになるのではなく、企業向けデジタル体験や顧客体験事業を率いてきた人物が選ばれたところは少し気になります。
Adobeは現在、Creative Cloudだけでなく、企業のマーケティングやコンテンツ制作をAIで自動化する領域もかなり強化しています。
Narayen氏はAdobeをサブスク企業へ変えたCEO
シャンタヌ・ナラヤン氏は2007年にAdobe CEOへ就任しました。
その期間に起きた最も大きな変化のひとつが、Creative SuiteからCreative Cloudへの移行です。
PhotoshopやIllustratorをパッケージとして購入する方式から、現在のサブスクリプションモデルへAdobeの事業そのものを変えました。
現在のAdobeしか知らなければ当たり前に見えますが、当時はクリエイターからかなり大きな反発もあった変更です
それでも結果としてAdobeは、ソフトを数年ごとに販売する会社から継続課金型のソフトウェア企業へ変わりました。
今回のCEO交代も、生成AIによってそれと同じくらい大きな転換期に入っている時期に行われます。
Adobeを取り巻く状況は以前より複雑
現在のAdobeにはかなり強い競合がいます。
- デザイン分野ではCanvaとFigma
- 生成AIではGoogle、OpenAIなど
- 動画や画像生成だけを見れば、専門AIサービスも大量
Reutersによると、Adobe株は2026年に約18%下落しており、2025年にも21%下落。AIがAdobeの既存ビジネスへ与える影響について、投資家の警戒が続いています。
一方でAdobe自身もFireflyを中心に生成AIを急速に取り込み、Creative Cloudの外からAdobe機能を利用できるようにする動きまで進めています。
先日発表されたSlack連携もそのひとつです。
Photoshopの新機能を増やすだけではなく、そもそも「Adobe製品をどこで使うのか」まで変えようとしています。
クリエイターに今すぐ何か変わるわけではない
CEO交代が発表されたからといって、Creative Cloudの料金やPhotoshopの仕様がすぐ変わるわけではありません。
現段階で利用者側が何か対応する必要もありません。
それでもAdobeほどクリエイティブ業界への影響が大きい企業では、経営トップが何を重視するかは数年単位で製品の方向性へ現れます。
特に現在は、
- 生成AIをAdobe製品へどこまで入れるのか
- CanvaやFigmaとどう競争するのか
- Creative Cloud中心の事業モデルをどう広げるのか
という大きなテーマがあります。
約19年続いたCEO体制が変わる以上、12月以降の製品戦略は少し注意して見ておきたいところです。
Adobeは9月10日に2026年度第3四半期の決算発表も予定しています。