完成したデザインを見るだけではなく、「完成する前」を見せるデザインフェスティバルが東京・品川で開催されます。
「Featured Projects 2026」は2026年9月25〜27日の3日間、THE CAMPUSで開催。
今年は「ものがうまれる、その『間』」をテーマに、約50組のCreators Market、トーク、展示、ワークショップ、公開制作などを通して、クリエイターの試行錯誤や制作過程そのものを表へ出します。
約50組がZINE、ポスター、雑貨、作品を持ち寄る


個人クリエイターが特に見ておきたいのが「Creators Market」です。
約50組のクリエイターが参加し、ZINE、ポスター、雑貨など、それぞれが制作したものを展示・販売します。企業による製品展示だけではなく、個人の自主制作物まで同じイベント内に並ぶのが特徴です。
ZINEを作っている人なら、作品の内容だけでなく、判型、紙、綴じ方、価格、ブース上での見せ方まで見ておくと参考になります。
Web上では1枚のサムネイルとして見えていた作品も、紙になるとサイズや質感があります。自主制作物を「作る」だけでなく「人の手に取ってもらう」ところまで考えるなら、こうしたマーケットには完成データだけでは見えない情報があります。
完成作品より「途中」に焦点を当てる


2026年のテーマは「ものがうまれる、その『間』」。
完成したデザインを並べて成果を見せるというより、アイデアが形になるまでの試行錯誤、人との対話、技術との接点などに焦点を当てています。
イベントではTalk Session、Workshop、Creators Marketに加えて、少人数でクリエイターと話すTable Talk、制作の瞬間を見せるLive Performanceなど6種類のプログラムが用意されています。
完成したロゴだけを見ると、一発でその形を思いついたように見える。
完成したイラストだけを見ると、最初から構図が決まっていたように見える。
けれど制作する側なら、そうではないことはよくわかります。
ラフを捨て、文字を変え、色を戻し、最初の案へ戻り、人に見せてまた直す。
普段は納品物から削除されてしまう部分をイベントの主題にしたのが、今年のFeatured Projectsです。
グラフィックデザインを三世代で語るセッションも


9月27日には「三世代のグラフィックデザイン──引き継ぐもの、変えていくもの、その間」と題したトークセッションが予定されています。
登壇者には、東京都写真美術館、TOKYO ART BOOK FAIR、Takeo Paper Showなどの仕事を手掛けてきたグラフィックデザイナー・田中義久氏らが名を連ねています。
ほかにもイラスト、映像、プロダクト、UI/UXなど、特定ジャンルだけに閉じないクリエイターが参加します。
自分がグラフィックデザイナーだからグラフィックだけを見るのではなく、別分野の制作方法を持ち帰れる構成です。
日本語と一緒に組むための欧文書体「FP MONO」も制作
タイポグラフィが好きなら、イベントそのもののために作られた書体にも注目です。
Featured Projectsは、ポルトガルのタイプファウンドリーR-Typographyとの出会いをきっかけに、オリジナル欧文書体「FP MONO」を制作しました。
タイプファウンドリーは、書体を設計・開発し、フォントとして提供する組織やスタジオです。 日本語では「書体メーカー」に近い意味で使われますが、海外では数人規模や個人運営のファウンドリーも多く存在します。
FP MONOで面白いのは、欧文だけをきれいに組むために作られた書体ではないことです。
漢字・ひらがな・カタカナが共有する正方形のグリッドへ着目し、日本語と欧文を並べたときに整列するよう、ラテン文字の幅、高さ、ディセンダーなどを再設計しています。
ディセンダーは、欧文書体で「g」「p」「y」などがベースラインより下へ伸びる部分です。 欧文と和文では文字を設計する基準が異なるため、混植すると高さや位置が揃って見えない場合があります。
日本語の文章へ英単語が頻繁に入るWebサイト、書籍、ZINEなどを作っている人なら、この考え方は興味深いはずです。
公式サイト自体がフォント見本になっている
FP MONOは、イベント会場へ行かなくても公式サイト上で確認できます。
「Featured Projects 2026」のWebサイトそのものがFP MONOの書体見本として設計され、文字幅やウエイトをリアルタイムで変更できます。
文字幅は一文字が横方向に占める幅、ウエイトは文字の線の太さです。 可変フォントでは、複数の固定フォントを切り替えるのではなく、これらの値を連続的に変更できる場合があります。
さらにサイトには「魚拓」と呼ばれる機能があり、イベントやWebサイトが徐々に作られていった過程を遡れるようになっています。
イベントのテーマを説明文で「制作過程が大切です」と書くだけではなく、Webサイト自体の機能へ落とし込んでいるわけです。
Webデザイナーなら、こちらも見ておきたいところです。
モリサワは書体見本帳を会場で配布
9月18日には、モリサワからイベントへの参加内容も発表されました。
期間中、会場内でポスターを展示するほか、ノベルティエリアでは「Morisawa Fonts書体見本帳2025-2026」とオリジナルの書体スポンジを配布する予定です。
フォントの見本を画面だけで確認している人には、紙へ印刷された書体をまとめて比較できる資料になります。
- 文字サイズが下がったときにどこまで読めるか
- 明朝体の細い横画が紙でどう見えるか
- 同じポイント数でもどの書体が大きく感じるか
装丁、同人誌、ZINEなど紙媒体を作る人なら、フォント選びは画面だけで終わらせないほうがいい場面があります。
9月25〜27日の3日間、前売りは1,500円
Featured Projects 2026は、9月25日12時に開幕します。
開催日時
2026年9月25日(金) 12:00〜18:00
2026年9月26日(土) 12:00〜19:00
2026年9月27日(日) 12:00〜19:00
入場料
前売り1,500円、当日2,000円、学生1,000円
一部のトークやワークショップなどは、入場券とは別にプログラムごとの申し込みが必要です。
2023年、2024年の開催では、それぞれ4,500人以上が来場しています。
- ZINEを探す
- グラフィックを見る
- クリエイター本人と話す
- 制作途中を見る
- フォントを触る
デザインイベントは完成した「良いもの」を大量に見る場所になりがちですが、今年のFeatured Projectsは、その手前まで覗けるのが面白いところです。
完成品を見て「すごい」で終わるより、どうやってそこまで辿り着いたのかを盗みに行く。制作する側なら、そんな見方をすると持ち帰れるものが増えそうです。
関連リンク
Featured Projects 2026 公式サイト
Featured Projects 2026 開催概要
FP MONO・公式サイトのデザインについて|Featured Projects
モリサワ|Featured Projects 2026参加情報
JDN|Featured Projects 2026 プログラム情報