Unityで作ったゲームを、作り直さずにFortniteへ公開する。
UnityとEpic Gamesが進めている共同プロジェクトで、その仕組みが少しずつ見えてきました。
Unityは2026年7月のUnite Seoulで、Unityのサンプルプロジェクト「Fantasy Kingdom」をUnreal Engine上でリアルタイムに動かす技術デモを公開しています。Unity側でゲームの物理演算やC#スクリプトを処理し、Unreal Engine側が画面を描画する構成です。
将来的には「Fortnite」をUnityのビルドターゲットとして選び、そのままFortniteユーザーへゲームを届けられる環境を目指しています。
早期アクセスは2027年を予定しています。
UnityとUnreal Engineを同時に動かす
UnityとEpic Gamesは2025年11月、Unityで開発したゲームをFortniteへ公開できるようにする提携を発表しました。
Fortniteには5億以上の登録アカウントがあり、ゲーム本編だけでなく、外部クリエイターが制作したゲームや体験を公開するプラットフォームとしても拡大しています。
Unity製ゲームもここへ参加できるようにするのが今回の計画です
ただし、UnityプロジェクトをUnreal Engine形式へ変換するわけではありません。
2026年7月に公開された構成では、UnityとUnreal Engineの両方を動かします。
| 処理 | 担当 |
|---|---|
| C#スクリプト | Unity |
| ゲームロジック | Unity |
| 物理演算 | Unity |
| ワールド状態 | Unity |
| シーン情報の転送 | PolySpatial |
| 描画 | Unreal Engine / Fortnite |
| プレイヤー入力 | Fortnite側からUnityへ送信 |
Unity側では画面を描画しない「Headless Unity Server」を動かし、ゲームの状態を管理します。
キャラクターの位置や回転、アニメーション状態などは、UnityのPolySpatialプロトコルを使ってUnreal Engine側へ送信されます。Unreal Engineは受け取った情報をもとに映像を描画します。
一方、プレイヤーの操作はFortnite側からUnityへ送り返されます。
UnityとUnreal Engineのどちらかへ完全に変換するのではなく、それぞれが得意な部分を担当しながら同じゲームを動かす構成です。
既存のMonoBehaviourもそのまま動作
デモでは、Unityで作られた既存のMonoBehaviourを使ってプレイヤー操作を処理しています。
Unityで長年ゲームを開発しているスタジオにとって、ここは重要です。
Fortnite向けにゲームを展開したくても、Unreal EngineやUEFN向けにゲームロジックを作り直す必要があるなら、移植コストが大きくなります。
既存のUnityプロジェクトを維持したままFortniteを新しい配信先として追加できれば、同じIPをPC、スマートフォン、コンソール、Fortniteへ広げる選択肢が生まれます。
Unity自身も、今回の取り組みについて「FortniteをUnityのビルドターゲットにする」ことを目標に掲げています。
UnityのオブジェクトとUnrealのキャラクターが同じ空間を歩く
技術デモでは、単にUnityの映像をUnreal Engineへストリーミングしただけではありません。
Unityで作られた地形とUnreal Engine側のオブジェクトをひとつの空間として扱い、プレイヤーキャラクターが両方の衝突判定をまたいで移動しています。ライティングも共有され、Unreal Engine側の光がUnity由来の地形へ影響する様子が披露されました。
Unityはこの仕組みについて、Pixel Streamingやアプリケーションランチャーとは異なるものだと説明しています。
Unityがゲームを動かし、その映像だけを転送するのではありません。シーン内のオブジェクト情報を両エンジン間で共有し、Fortnite側がネイティブに描画します。
3Dアセットやライティングを扱うクリエイターにとっても、この違いは大きいでしょう。
何でもそのまま持っていけるわけではない
一方で、UnityプロジェクトならそのままFortniteへ持っていけるという段階ではありません。
現在Unityが公開している主な制約は次の通りです。
| 項目 | 現在の方針 |
|---|---|
| Render Pipeline | URPが前提 |
| HDRP | 非対応 |
| Built-in Render Pipeline | 非対応 |
| Shader Graph | 対応を進める |
| 手書きShaderLab | 非対応 |
| 独自Render Pipeline | 非対応 |
| 2D / Sprite系 | 初期対応は限定的 |
| Asset Store素材 | 使用機能によって異なる |
Fortnite側に存在する機能との対応関係を作りやすいものから実装する方針です。
特に2Dゲームでは注意が必要です
Fortnite側にはUnityと同等の2D・Sprite制作基盤がないため、3Dタイトルほど簡単には移植できません。
Unityは将来、プロジェクト内の非対応機能をビルド前に検出する検証ツールも用意する予定です。
遅延はまだ課題
Unity側も、現在の技術課題としてレイテンシーを挙げています。
ゲームロジックをUnity Serverで処理し、その状態をFortnite側へ送り、プレイヤー入力を再びUnityへ戻すため、通信経路が増えます。
アクションゲームなら多少の遅延を吸収できても、フレーム単位の操作が求められる格闘ゲームやリズムゲームでは問題になりやすくなります。Unityも、タイミングへの依存が強いジャンルは難易度が高いと説明しています。
早期アクセスまで時間を取っている理由のひとつでもあります。
現段階では「UnityゲームをFortniteへ簡単に書き出せる機能」と考えるより、技術的な土台が動き始めた状態と見る方が正確です。
Fortniteのクリエイター経済へUnityゲームが入る
Unityがこの開発を進める理由は、技術的な面白さだけではありません。
Fortniteでは外部クリエイターがゲームや体験を公開でき、それらに対する収益分配も行われています。
Unityは、Unity製ゲームも将来的にFortniteネイティブのコンテンツと同じようにユーザーを獲得し、収益化できる環境を目指しています。
Unityが現在公開している早期アクセス申込フォームでは、利用目的として
- 既存Unityゲームの移植
- 既存IPのスピンオフ
- Fortnite向け新作
- Unity AssetのFortniteクリエイター向け販売
などを挙げています。
単なるゲーム移植機能より対象は広めです
Unityで制作された3Dアセットやゲームシステムを、Fortniteという別のクリエイタープラットフォームへ持ち込むルートを作ろうとしています。
ゲームエンジンの境界が薄くなる?
UnityとUnreal Engineは長く競合関係にあるゲームエンジンです。
制作会社も「Unityを使うスタジオ」「Unreal Engineを使うスタジオ」と分かれることがあり、同じプロジェクトで両方を動かす発想は一般的ではありませんでした。
今回の共同開発では、その境界を越えてUnityがゲームロジックを担当し、Unreal Engineが描画する構成を作っています。
制作ツールが違っても、完成したゲームを同じプラットフォームへ届ける。
2025年に両社が発表した「相互運用可能なゲームの未来」という言葉が、技術として形になり始めています。
2027年の早期アクセスでどこまで既存Unityプロジェクトを持ち込めるのか。特に対応するUnity機能、パフォーマンス、収益化条件は、正式提供まで追っておきたいところです。