DaVinci Resolveには無料版と有料の「DaVinci Resolve Studio」がありますが、一般的な動画編集なら無料版だけでも編集・カラー・VFX・音声まで一通り完結します。
差が大きくなるのは、10bit素材、4Kを超える解像度、60fps超の制作、AI機能、高度なノイズ除去、プロ向けコーデックなどを使う場合です。
YouTube編集だからStudioが必要、仕事だから有料版が必要、と単純に分けるソフトではありません。
無料版は4K・60fpsまで編集できる
DaVinci Resolveの無料版は、Ultra HD 3840×2160まで、最大60fpsで編集・フィニッシングできます。
Blackmagic Designは、無料版について「60fpsまでのほぼすべての8-bitフォーマット」とUltra HDまでの解像度に対応すると案内しています。カラーグレーディング、FusionによるVFX・モーショングラフィックス、Fairlightによる音声編集、マルチユーザーコラボレーションも利用できます。
つまり、
- YouTubeの1080p動画
- YouTubeの4K動画
- 24fps・30fpsの映像作品
- 60fpsのゲーム動画
- SNS向け縦動画
- カット編集
- テロップ
- BGM・効果音
- 基本的なカラーグレーディング
- Fusionを使ったVFX・モーショングラフィックス
といった制作なら、無料版から始めても大きく困らないケースが多いでしょう。
「無料版=体験版」ではありません
編集機能を少し試せるだけのソフトではなく、Blackmagic Design自身がプロと同系統のツールを学べる無償バージョンとして提供しています。
無料版とStudio版の違いを早見表で比較
2026年9月時点の主な違いを整理すると、次の通りです。
| 比較項目 | DaVinci Resolve 無料版 | DaVinci Resolve Studio |
|---|---|---|
| 価格 | 無料 | 51,980円(税込) |
| 現行バージョン | 21 | 21 |
| 最大解像度 | Ultra HD 3840×2160 | 4K超、最大32K対応 |
| 最大フレームレート | 60fps | 120fps |
| 主な対応映像 | ほぼすべての8-bit形式 | 10-bitを含むプロ向け形式を拡充 |
| 通常の動画編集 | ○ | ○ |
| カラーグレーディング | ○ | ○ |
| Fusion | ○ | ○ |
| Fairlight | ○ | ○ |
| テキストベース編集 | ― | ○ |
| Magic Mask | ― | ○ |
| 高度なノイズ除去 | ― | ○ |
| Super Scale | ― | ○ |
| AIボイスアイソレーション | ― | ○ |
| ダイアログセパレーター | ― | ○ |
| 音楽リミキサー | ― | ○ |
| 追加Resolve FX | ― | 45種類以上 |
| マルチGPU | 制限あり | ○ |
| H.264/H.265ハードウェア支援 | 制限あり | 対応拡充 |
| Dolby Vision / HDR10+ | 制限あり | 高度な対応 |
| DCP・IMFなど業務納品 | 制限あり | 対応拡充 |
Studioは無料版の機能を置き換えるというより、無料版へプロ制作向けの処理・AI・コーデックを追加する上位版と考えるとわかりやすい構成です。
Studioは51,980円。月額制ではない
DaVinci Resolve Studio 21は、Blackmagic Design公式ストアで51,980円(税込)です。
デジタル版では購入後にライセンスキーがメールで送られます。
Adobe Premiereのように毎月料金を支払うサブスクリプションとは料金体系が異なります。
そのため、
「毎月動画を編集する」
「数年使う予定がある」
という人ほど、導入価格だけでなく長期的なソフト代も比較材料になります。
一方で、無料版の完成度が高いため、最初から約5万円を支払う必要もありません。
無料版で編集を始め、必要な機能が出てからStudioへ移るという選び方がしやすいソフトです。
4K動画なら無料版でも足りる
「4K編集にはStudioが必要」と思われることがありますが、無料版もUltra HD 3840×2160まで対応しています。
YouTubeで一般的な、3840×2160 / 30fpsや、3840×2160 / 60fpsなら、解像度とフレームレートだけを理由にStudioへ変更する必要はありません。
違いが出るのは、4Kより上の解像度や60fpsを超える制作です。
Studioでは最大32K・120fpsまで対応するとBlackmagic Designが案内しています。
たとえば、
- 4K 120fps素材
- 6K・8Kカメラ素材
- 高解像度で仕上げる映像作品
- 高フレームレートを維持した納品
などではStudioが候補になります。
10bit素材を扱うならStudioを確認したい
カメラやスマートフォンの撮影設定を見ると、
- 10bit
- Log
- HLG
- HDR
といった項目が出てくることがあります。
このあたりから無料版とStudio版の差が大きくなります
Blackmagic Designは無料版を「ほぼすべての8-bitフォーマット」に対応するバージョンとして案内し、Studioではプロ向け10-bitフォーマットへの対応を拡充しています。H.264などの10-bitエンコーディングを使用したカメラフォーマットにもStudioが対応します。
ただし、10bitなら何でも一律に無料版で開けない、と覚えるのも正確ではありません。
OS、コーデック、コンテナ、カメラ形式などによって対応状況が変わるため、自分が撮影する素材形式を基準に確認するのが確実です。
特に、「カメラを買い替えてから素材が読み込めなくなった」という場合は、PC性能だけでなく無料版のコーデック制限も確認する価値があります。
YouTube編集なら多くの人は無料版からでいい
YouTube動画を作るだけなら、最初からStudioを買う必要はないでしょう。
無料版でも、
- カット
- テロップ
- トランジション
- BGM
- 効果音
- カラー調整
- 音量調整
- クロマキー
- Fusion
- 4K書き出し
まで扱えます。
YouTube編集でStudioの価値が出てくるのは、単純な編集機能より編集を速くするAIや補正機能です。
たとえば
- 大量の会話素材をテキストから編集したい
- 背景ノイズを強く除去したい
- 人物を自動で切り抜きたい
といった作業ではStudioの優位性が増します。
YouTubeだから無料版、映画だからStudioという線引きではなく、どんな処理に時間を使っているかを見るほうが選びやすいでしょう。
テキストベース編集はStudio版
長尺のインタビュー、対談、YouTube動画、講義動画などでは、映像を最初から最後まで再生しながら不要部分を探すだけでも時間がかかります。
DaVinci Resolve Studioはテキストベース編集に対応しています。Blackmagic Designも、Studio専用の追加機能として明記しています。
文字起こしされた内容を基準に素材を探したり編集したりできるため、
- インタビュー
- YouTubeトーク動画
- ポッドキャスト動画
- 講義
- セミナー
- 対談
など、「話している時間」が長い映像ほど恩恵を受けやすい機能です。
Studioを買う理由として派手なエフェクトより、こうした編集時間の短縮が決め手になる人もいるでしょう。
Magic Maskは人物や物体を追跡したいときに強い
StudioにはDaVinci AI Neural Engineを利用したMagic Maskがあります。
人物や物体を分離して追跡できるため、従来なら細かくマスクを切る必要があった処理を省力化できます。Blackmagic DesignはMagic Maskによるオブジェクトの分離・トラッキングをStudioのAI機能として案内しています。
たとえば、
- 人物だけ明るくする
- 背景だけ色を変える
- 被写体の後ろへ文字を入れる
- 特定の物体へエフェクトを追従させる
といった処理です。
毎日使う人もいれば、まったく必要ない人もいます。
「StudioにはAIがたくさんあるから買う」より、自分が手作業で行っている処理を置き換えられるかを見たほうが投資判断をしやすくなります。
ノイズ除去を使いたいならStudioの価値は高い
Studio版で差を感じやすい機能のひとつが映像ノイズ除去です。
Studioには時間的ノイズ除去とAIベースの空間的ノイズ除去が搭載されています。
暗い場所で撮影した映像や、高ISOで撮った素材では、ザラつきが目立つことがあります。
撮影条件を改善できるならそのほうが先ですが、
- イベント撮影
- 夜間撮影
- ライブ
- ドキュメンタリー
- 撮り直せない素材
では、編集時に救わなければならない場面もあります。
こうした仕事が多いなら、Studioの価格を「追加エフェクト代」ではなく、使える素材を増やすための費用として見ることもできます。
Studioは音声処理も強くなる
動画制作では、映像より音声補正に困るケースも少なくありません。
DaVinci Resolve Studio 21では、AIを利用した
- ボイスアイソレーション
- 音楽リミキサー
- ダイアログセパレーター
などが利用できます。
- 対談動画で環境音を抑えたい
- BGMと声を扱いやすくしたい
- 収録済み音声を少しでも聞き取りやすくしたい
こうした編集を頻繁に行うなら、映像側の機能より音声処理がアップグレード理由になる可能性があります。
ただし、録音品質そのものを完全に作り直せるわけではありません。
マイク位置や録音環境を整えられる撮影なら、収録段階で音を良くすることが優先です。
Super Scaleで低解像度素材を拡大できる
StudioのDaVinci AI Neural EngineにはSuper Scaleがあります。
HD素材を高解像度化し、4Kや8Kへアップスケールする用途などに使えます。
古い素材を新しい4K作品へ混ぜる場合や、一部だけ低解像度の素材しか残っていない場合に役立ちます
ただし、すべての映像を高解像度化すればStudio代の元が取れるわけではありません。
通常のYouTube編集で撮影素材が最初から4Kなら、Super Scaleの出番は少ないでしょう。
自分の制作で使う機能かどうかを一つずつ切り分けるほうが、Studioの必要性は判断しやすくなります。
StudioはResolve FXも45種類以上追加される
Studioでは無料版に加えて、45種類以上のResolve FXが追加されます。
公式では、
- レンズフレア
- アナログダメージ
- フェイス・ビューティーツール
- イメージ復元
- フィルムルック
- ハレーション
- フィルムグレイン
- オブジェクト除去
などが案内されています。
映像表現を作り込む人には魅力的ですが、YouTubeのカット編集を中心に使う人が全部必要とするわけではありません。
購入判断では、機能数より日常的に使う機能がいくつあるかを見るのがおすすめです。
無料版でStudio専用エフェクトを使うとウォーターマークが出る場合がある
DaVinci Resolveでは、Studio専用フィルターが無料版の画面にも表示されることがあります。
Blackmagic Designの公式トレーニングガイドでは、無償版でStudio専用フィルターを適用すると制限メッセージが表示され、続行した場合は映像へDaVinci Resolve Studioのウォーターマークが表示される仕様が案内されています。
そのため、「無料版なのにエフェクト一覧にあるから使える」とは限りません。
納品前や投稿前には、Studio専用機能を意図せず使っていないか確認しておくと安心です。
GPU性能を活かしたい人にもStudioが向く
動画編集ソフトはCPUだけでなくGPUも大きく使います。
StudioはGPU処理が拡張されており、MacではMetalとAppleシリコンのユニファイドメモリGPU、Windows・LinuxではOpenCLやCUDAに最適化されています。追加GPUによる性能向上にも対応します。
さらに、H.264・H.265のハードウェアアクセラレーションによるデコード・エンコードにも対応しています。
高性能なGPUを積んだPCで、「編集ソフト側の制限よりハードウェアをもっと活かしたい」という段階ならStudioを検討する理由になります。
反対に、PC性能自体が不足している場合、Studioを購入しただけですべての編集が軽くなるわけではありません。
ソフト代とPCのアップグレード代は分けて考えてください
無料版から始めたプロジェクトを捨てる必要はない
無料版からStudioへ移行する場合、「最初から有料版で作り直さないといけないのでは」と心配する必要はありません。
DaVinci ResolveとStudioは同じ編集環境を基盤にしており、Studio側で無料版の機能も利用できます。
そのため、無料版で操作を覚えてから、Studio専用機能が必要になった段階で移行する流れを取りやすいソフトです。
Blackmagic Design自身も、無料版でDaVinci Resolveを習得し、より多くの仕事を手掛けるようになったあとStudioへアップグレードする流れを案内しています。
無料版で始めることが遠回りになるわけではありません。
無料版がおすすめなのはこんな人
次の用途なら、まず無料版から試す価値が高いでしょう。
- 初めてDaVinci Resolveを使う
- YouTube動画を編集したい
- フルHD中心で制作する
- 4Kでも60fps以内が中心
- 一般的な8-bit素材を扱う
- カット・テロップ・BGMが中心
- 基本的なカラーグレーディングをしたい
- Fusionを学びたい
- Premiere Proなどから乗り換えられるか試したい
- AI機能をまだ必要としていない
無料だから簡易版、と考える必要はありません。
動画編集を覚える段階なら、まず無料版を使い、自分が何に困るのかを確認してからStudioへ進むほうが購入判断をしやすくなります。
Studioがおすすめなのはこんな人
次の条件が増えてきたらStudioの価値が上がります。
- 10-bitなどプロ向けカメラ形式を多く扱う
- 4Kを超える解像度で制作する
- 60fpsを超えて仕上げる
- 高度なノイズ除去を使いたい
- Magic Maskを頻繁に使いたい
- テキストベース編集で長尺素材を編集したい
- AIボイスアイソレーションを使いたい
- Super Scaleを使いたい
- H.264・H.265処理を高速化したい
- 追加Resolve FXを使いたい
- 高度なHDR制作をする
- DCP・IMFなど業務向け形式で納品する
- 編集時間の短縮によって購入費を回収できる
仕事で使うからStudio、というより、Studio専用機能によって制作時間や対応案件が変わる人が購入対象です。
仕事で使うならStudioを買ったほうがいい?
有償案件を受け始めたからといって、すぐStudioが必須になるわけではありません。
たとえばクライアントから、
1080p
30fps
一般的な映像素材
カット+テロップ+BGM
という動画を受けているなら、無料版の機能範囲で制作できる場合があります。
一方、
10bit Log素材
ノイズの多い撮影素材
インタビュー数時間
高度な人物マスク
4Kを超えるマスター
を扱うなら、Studio専用機能が作業効率へ直結します。
51,980円を「仕事用だから払う」のではなく、Studioによって1案件あたり何時間減らせるかまで考えると判断しやすくなります。
たとえばAI編集やノイズ処理によって1案件2時間短縮でき、その時間を別案件へ使えるなら、ソフト代の意味は変わります。
Premiere Proから乗り換えるなら、まず無料版で仕事を再現してみる
DaVinci Resolveを検討している人の中には、Premiere Proなど別の編集ソフトからの移行を考えている人もいるでしょう。
この場合も、料金比較だけでStudioを買うより、普段作っている動画を無料版で1本再現してみるのがおすすめです。
確認したいのは、
- よく使う素材を読み込めるか
- テロップを作りやすいか
- ショートカットへ慣れられるか
- 使用中のプラグインを代替できるか
- 音声編集で困らないか
- 書き出し形式を満たせるか
- クライアントとの受け渡しに問題がないか
です。
ソフトの機能数が多くても、自分の制作フローに合わなければ移行コストが大きくなります。
DaVinci Resolveは無料版で検証できるので、この強みを使わない手はありません。
結論:迷っている段階なら無料版でいい
DaVinci Resolve 21の無料版は、Ultra HD 3840×2160・60fpsまで対応し、編集、カラー、Fusion、Fairlightまで使えます。一般的なYouTubeやSNS動画を作るだけなら、無料版でも相当な範囲をカバーできます。
Studioへ進む目安は、無料版だから物足りないと感じたときではなく、必要なStudio専用機能を具体的に言えるようになったときです。
- 「10bit素材を安定して扱いたい」
- 「Magic Maskを使いたい」
- 「ノイズ除去が必要」
- 「テキストベース編集で長尺動画を速く切りたい」
- 「4K60fpsを超える」
このような理由が出てきたら、51,980円を払う意味が見えてきます。
逆に「有料版のほうがプロっぽい」という理由だけなら、無料版を使い切ってからでも遅くありません。
DaVinci Resolveは、無料版でも制作物を完成させられるソフトです。まず自分の素材と制作フローで使い、無料版の制限が仕事や表現の制限になったところでStudioへ移るのが無駄の少ない選び方です。