フォロワーは増えている。作品を投稿すれば反応もある。
それなのに、作品販売やコミッション、月額支援、仕事の問い合わせには思ったほどつながらない。
ここで「まだフォロワーが足りない」と考える前に確認したいのが、SNSから購入・依頼までの販売導線です。
作品を見てもらうことと、そこからお金を払ってもらうことの間には、いくつかの段階があります。
作品を見た人がプロフィールを開き、販売や依頼を受け付けていることを知り、自分に合ったリンクを選び、販売ページで内容を確認して、ようやく購入や依頼に進みます。どこか一か所でも分かりにくければ、その先には進みません。
フォロワー数だけを見るより、「見られているのに売れない」の中身を分解するところから始めたほうが、改善する場所を見つけやすくなります。
「売れない」を5段階に分けて考える
販売導線を改善するときは、いきなりプロフィールや商品ページを全部作り直す必要はありません。
販売までの流れは、大きく5段階に分けて考えられます。
| 段階 | 読者の行動 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 認知 | 作品・投稿を見る | そもそも作品が見られているか |
| 興味 | プロフィールを見る | 作者自身に興味を持たれているか |
| 移動 | 販売・依頼先へ移る | 行き先が分かりやすいか |
| 検討 | 商品・サービス内容を見る | 買うための情報がそろっているか |
| 購入 | 購入・支援・依頼する | 価格や条件に納得できるか |
たとえば、1か月で作品が20,000回表示され、プロフィールへ600人、そのうち120人が販売ページへ移動し、12人が購入したとします。

これは、20,000表示 → 600プロフィールアクセス → 120リンククリック → 12購入という流れです。
仮に販売価格が1,500円なら、12件で売上は18,000円です
ここで購入件数を増やしたいからといって、商品ページだけを直すのが正しいとは限りません。
プロフィールアクセスが20人しかいないなら、商品ページよりも「作品を見た人が作者のプロフィールまで移動する理由」を確認するほうが先です。
反対に、販売ページへ500人来ているのにほとんど購入されていないなら、プロフィールより販売ページ側を見直したほうが改善につながりやすくなります。
ここで挙げた数字は目安や平均値ではなく、考え方を示すための例です。
重要なのは、フォロワー数と売上を直接比較するのではなく、どの段階で人数が減っているかを見ることです。
作品を見た人に「何を買える人なのか」が伝わっているか
クリエイターのSNSでは、作品そのものがプロフィールを見てもらう入口になります。
問題は、そのあとです。
イラストを見てプロフィールへ移動しても、
- 「BOOTHはこちら」
- 「FANBOX」
- 「Skeb」
- 「各種リンク」
とだけ書かれていた場合、それぞれのサービスを知らない人には何があるのか分かりません。
サービス名より、そこで何ができるのかを伝えたほうが判断しやすくなります。
| 案内 | 伝わりにくい例 | 分かりやすい例 |
|---|---|---|
| BOOTH | BOOTHはこちら | 既刊・作品販売はこちら |
| FANBOX | FANBOX | 制作活動を支援する |
| Skeb | Skeb受付中 | イラストリクエスト受付中 |
| ポートフォリオ | HP | 作品一覧・制作実績 |
すでにサービスを知っているファンだけを相手にするなら「BOOTH」「Skeb」だけでも通じます。
SNS経由で初めて知った人まで購入候補にしたいなら、サービス名の意味を相手が知っている前提にしないほうが安全です。
プロフィールは「自己紹介」だけで終わらせない
プロフィールへ来てもらえているなら、次に確認したいのはその内容です。
クリエイターのプロフィールには、活動歴やジャンル、好きなものなど多くの情報を書きたくなります。
ただ、販売導線として考えるなら、
- 何を作っている人なのか
- 何を買えるのか
- 依頼や支援は受け付けているのか
が短時間で判断できることも重要です。
たとえば、「創作漫画・イラスト|既刊とグッズはBOOTH|制作支援はFANBOX」程度でも、単にURLだけを並べるより役割が伝わります。
Xではプロフィールに自己紹介とWebサイトを設定でき、特定のポストをプロフィール上部へ固定できます。自己紹介は最大160文字です。
販売先をすべて詰め込むのではなく、プロフィールと固定ポストを役割分担させる方法もあります。
限られた文字数のすべてを販売告知へ使う必要はありません
少なくとも、下記が分かる状態にしておくと、作品からプロフィールへ来た人が迷いにくくなります。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 誰なのか | 普段作っているもの |
| 何があるのか | 商品、依頼、支援など |
| どこへ行けばいいか | リンク先 |
SNSからFANBOXへ誘導できても、FANBOX側で「誰の、何を支援するページなのか」が分からなければ、そこで止まる可能性があります。
販売導線はSNS側だけで完結するものではありません。
リンクを増やしすぎると、入口はあるのに迷わせる
活動期間が長くなるほど、プロフィールから案内したい場所は増えていきます。
BOOTH、FANBOX、Skeb、ポートフォリオ、YouTube、Instagram、イベント情報、過去作品、問い合わせフォームなどをすべて同じ強さで並べると、「どれを押せばいいか」を訪問者側へ考えさせることになります。
リンク集を使う場合も、リンク数そのものより並び順を確認したいところです。
たとえば現在BOOTHの商品を販売したいなら、
- 現在販売している商品
- BOOTHショップ
- FANBOX
- Skeb
- その他SNS
のように、販売したいものを上に置く方法があります。
「リンクは3個以内でなければいけない」といった決まりはありません。
ただ、現在もっとも案内したい場所が8個のリンクの中に埋もれているなら、優先順位を付ける意味はあります。
特に避けたいのが、リンク集の一番上に別のSNSを置き、そのSNSのプロフィールから再び販売ページへ移動させる導線です。
SNS → プロフィール → リンク集 → 別SNS → プロフィール → ショップ
と移動回数が増えていきます。
販売が目的なら、販売ページへ近い入口を用意したほうが分かりやすくなります。
特定の商品を告知するなら、できるだけ近い場所へ案内する
SNSで特定の商品について投稿したのに、
「詳しくはプロフィールから」→ リンク集 → BOOTHショップ → 商品を探す
という流れにしているケースがあります。
これでも購入はできますが、読者側に何度も選択や検索を求めています。
特定の商品について告知しているなら、その商品ページへ直接移動できるリンクを使うのがオススメです。
XではポストへWebページへのリンクを掲載できます。プロフィールからしか外部へ移動できないわけではありません。
もちろん、すべての作品投稿へ販売URLを付ける必要はありません。作品を楽しんでもらう投稿と販売告知は役割が違います。
ただ、「この商品はこちらで購入できます」と告知している投稿まで購入場所を探させる必要はありません。
外部リンクを貼ると伸びない、という噂だけで導線を外さない
SNS運用では「外部リンクを貼ると投稿が伸びにくい」という話が出ることがあります。
しかし、アルゴリズムは変更されますし、投稿形式やアカウントによって結果も変わります。
そのため、噂だけを理由に販売リンクをすべて外すより、
- リンクありの販売告知
- プロフィールへ誘導する告知
- 固定ポストから案内する方法
などを自分のアカウントで試し、リンククリックや販売数を見るほうが判断しやすくなります。
投稿の表示回数が増えても、購入ページへ誰も来なければ販売導線としては機能していません
逆に表示回数が少なくても、必要な人が商品ページへ移動して購入しているなら、その投稿には販売上の役割があります。
「どれだけ伸びたか」だけでなく「どこまで移動したか」も見てください。
商品ページまで来ているのに売れないなら、導線より販売ページを見る
販売ページへのアクセスはあるのに購入されない場合、問題はSNSよりも先にあります。
作品販売なら、購入者は「欲しいかどうか」だけでなく、「買って大丈夫か」も確認しています。
BOOTHなら、少なくとも次の情報が購入前に判断できる状態にしておきたいところです。
- 何を販売しているのか、最初に分かる
- 商品に含まれる内容が明記されている
- サイズ・形式・ページ数・データ形式など必要な仕様が分かる
- サンプル画像や完成イメージを確認できる
- 必要なソフトや利用環境が書かれている
- 商用利用・二次利用・加工などの条件が分かる
- 発送方法やデータの受け取り方法が分かる
- 購入後に変更できない条件が明記されている
- 購入前によく迷いそうな点へ回答している
コミッションなら確認項目は変わります。
依頼できる内容、納期、著作権や利用範囲、リテイクの扱い、連絡方法などが判断材料になります。
月額支援なら、「毎月何個の商品がもらえるか」だけではなく、普段どんな活動をしていて、支援がその活動にどうつながるのかも重要です。
何を売る場合でも共通しているのは、購入者側に残っている疑問を減らすことです。
説明文を長くすれば良いわけではありません
購入判断に必要な情報を探さなくて済む状態を目指します。
売れないからといって、すぐ値下げしない
商品ページまで見られているのに売れないと、価格を下げたくなるかもしれません。
価格が原因になるケースはありますが、購入されない理由は価格だけではありません。
内容が分からない商品を1,000円から800円へ値下げしても、情報不足そのものは解消されません
- 内容が分かりにくい
- 利用条件が不明
- サンプルが不足している
- 自分向けの商品か判断できない
といった状態でも購入は止まります。
BOOTHでは販売価格からサービス利用料も差し引かれるため、安易な値下げは1件あたりの手取りまで減らします。
Skebでも、「リクエストが来ない=おまかせ金額が高い」とは限りません。
募集していることが伝わっているか、プロフィールからSkebへ移動できるか、最近の作品から作風を判断できるかといった部分も確認したうえで価格を考えたほうが、原因を切り分けやすくなります。
フォロワー数より、「なぜフォローされたか」を見る
同じ5,000フォロワーでも、購入につながりやすさはアカウントによって違います。
大きく影響するのが、フォローされた理由です。
二次創作をきっかけにフォローされたアカウントでオリジナル作品を販売する場合、フォロワー全員がその作品を求めているとは限りません。
デザインのノウハウ投稿が伸びているアカウントでも、フォロワーがそのままデザイン依頼の顧客になるとは限りません。
無料で見られる作品を楽しむことと、有料商品を買うことも別の行動です。
これはフォロワーの質が悪いという話ではありません。
フォローした理由と、現在販売しているものが一致しているかを見る必要があるということです。
もし距離があるなら、急に販売告知を増やすより、その間をつなぐ情報を発信したほうが自然です。
- 作品集を販売するなら、収録作品や制作過程を見せる
- コミッションを募集するなら、依頼で描ける作風が分かる作品を見せる
- 月額支援なら、普段どんな制作活動をしている人なのかを伝える
普段の発信と販売物に接点があれば、販売ページへ移動する理由も作りやすくなります。
FANBOXは「買ってもらう商品」と同じ導線にしすぎない
FANBOXの場合は、BOOTHの商品購入とは少し考え方が違います。
支援者は特定のデータや作品だけを購入するのではなく、クリエイターの活動そのものを継続的に支援する意味も含めて参加します。
そのため、「限定イラスト10枚あります」「○円でこれが見られます」という商品説明だけでなく、
「普段どんな活動をしているのか」
「支援によってどんな活動を続けていくのか」
までプロフィールから分かるほうがFANBOXの仕組みに合います。
FANBOX公式もプロフィールへ活動内容や代表作、将来の夢や目標などを書くことを案内しています。
販売投稿を増やす前に「常設の入口」を整える
販売数を増やそうとして、毎日のように告知を繰り返す必要はありません。
販売告知を流した瞬間しか購入先が分からない状態をなくすほうが先です。
XならプロフィールのWebサイト欄や固定ポストを使えます
普段の作品を見てから数日後にプロフィールへ来た人でも、現在どこで商品を購入できるのか分かる状態を作っておけば、毎回同じ告知を投稿しなくても入口が残ります。
制作時間を使って宣伝投稿を増やし続けるより、プロフィールや固定投稿、販売ページなどの常設部分を整えておいたほうが運用負担も抑えられます。
どこを直すべきか分からないときの販売導線チェック
現在のSNSと販売ページを開きながら、上から確認してみてください。
- 作品を見た人がプロフィールへ移動できる
- プロフィールを見れば何を販売・募集しているか分かる
- 現在もっとも案内したいリンクが埋もれていない
- リンク名だけで移動先の内容が分かる
- 特定商品の告知から該当商品へ迷わず移動できる
- 過去のキャンペーンや終了済みリンクが残っていない
- 商品ページを見れば内容を判断できる
- 利用条件や対応環境が書かれている
- 値下げ前に商品ページの不足を確認している
- 投稿表示数だけでなくプロフィールアクセスも見ている
- 可能ならリンククリック数も確認している
- 購入数と、その一つ前の数字を比較している
全部を一度に変更する必要はありません。
数字を見て、もっとも人数が減っている場所から確認します。
「売れない」の原因がフォロワー数とは限らない
フォロワーが増えれば、作品を見てもらえる人数は増えます。
それでも、
- 作品を見る
- 作者を知る
- 販売しているものを知る
- 販売ページを見る
- 内容を理解する
- 購入する
という流れが途中で切れていれば、フォロワー数だけを増やしても同じ場所で止まり続けます。
反対に、現在いるフォロワーから販売ページへ移動する人を増やせれば、新作を大量に作ったり、毎日宣伝したりしなくても改善できる余地があります。
まず確認したいのは「もっと人を集める方法」ではなく、今来ている人がどこで止まっているかです。
フォロワー数、いいね数、売上だけを別々に見るのではなく、その間をつなぐ数字を見ると、次に直す場所が分かりやすくなります。
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