「日本パッケージデザイン大賞2027」の入賞作品が2026年9月17日に発表され、大賞に大丸松坂屋百貨店のショッピングバッグが選ばれました。
応募総数は1,098点。
403点が一次審査を通過し、17名の二次審査員による実物審査を経て、大賞1点、金賞7点、銀賞11点、銅賞9点、特別審査員賞5点が決定しています。
食品や化粧品だけでなく、楽器の輸送箱、ギフトパッケージ、スカーフのパッケージなど、パッケージデザインの守備範囲の広さが見える結果になりました。
1,098点の頂点は「大丸松坂屋百貨店 ショッピングバッグ」

大賞を受賞したのは、日本デザインセンターが応募した「大丸松坂屋百貨店 ショッピングバッグ」です。
| クライアント | 大丸松坂屋百貨店 |
| アートディレクション デザイン | 三澤遥氏 |
| デザイン | 鈴木正樹氏 佐々木耕平氏 |
| プロデュース | 曽根良恵氏 |
百貨店のショッピングバッグは、商品を持ち帰るための袋であると同時に、街中へ持ち出される広告媒体でもあります。
店舗の外へ出たあともブランドの顔として機能するため、パッケージとグラフィックデザインの境界にある媒体ともいえます。
今回の大賞が箱やボトルではなくショッピングバッグだったのは面白いところです
「パッケージデザイン」と聞くと商品の容器を思い浮かべがちですが、包む、運ぶ、守る、渡すという行為まで含めると、デザイン対象はもっと広くなります。
金賞は7作品。化粧品から楽器の梱包箱まで
金賞には7作品が選ばれました。
| 部門 | 受賞作品 |
|---|---|
| アルコール飲料 | Non-Alchemist / Alchemist |
| 化粧品 | IPSA_ME n |
| ボディ&ヘルスケア | Wood-Based WIPES |
| ボディ&ヘルスケア | Bioré キッズスタンプUV |
| ホームケア&電化製品・雑貨 | ANTIPASTO SCARF |
| 土産・ギフト・記念品 | SEVEN SEVENTHS 2WAY ギフトパッケージ |
| 輸送用ケース | 管楽器エントリーモデルの梱包箱 |
一覧を見るだけでも、現在のパッケージデザインが「商品の表面をきれいに装飾する仕事」だけではないことがよくわかります。
とくに気になるのが、ヤマハによる「管楽器エントリーモデルの梱包箱」が輸送用ケース部門の金賞に入っていることです。
完成品が店頭でどう見えるかだけでなく、商品が購入者へ届くまでの箱そのものもデザインの評価対象になります。
「IPSA_ME n」は化粧品部門で金賞


化粧品部門では「IPSA_ME n」が金賞を受賞しました。
応募者はコミュニケーションデザイン研究所、クライアントはイプサ。
クリエイティブディレクション、アートディレクション、デザインを工藤青石氏、ロゴをヘルムート・シュミット氏が担当しています。
化粧品はパッケージデザインを見るうえで参考にしやすいジャンルです。
容器形状、ブランドロゴ、商品名、容量など限られた要素を使いながら、棚に並んだときの識別性とブランドらしさを両立させる必要があります。
Webデザインなら画面をスクロールできますが、パッケージには使える面積そのものに物理的な上限があります。その制約の中で情報の優先順位を決める仕事なので、グラフィックデザイナーにとっても文字組みや余白の参考になります。
「Bioré キッズスタンプUV」も金賞

花王の「Bioré キッズスタンプUV」も、ボディ&ヘルスケア部門の金賞に選ばれています。
応募者・クライアントはいずれも花王。
クリエイティブディレクションを鈴木愛佳氏、グラフィックデザインを阿部真由子氏、パッケージデザインを藤波進氏と穂積芽里氏が担当しました。
子ども向けの商品では、かわいさだけでなく「何をする商品なのか」が見た瞬間に伝わることも重要です。
大人向けの商品より説明を読んでもらえることを前提にしにくいため、形や色、イラストなど視覚情報が担う役割も大きくなります。
キャラクターグッズや子ども向け書籍を制作するデザイナーにも近い課題です。
イッセイミヤケ「ANTIPASTO SCARF」は日本デザインセンターが金賞

ホームケア&電化製品・雑貨部門では「ANTIPASTO SCARF」が金賞を受賞しました。
応募者は日本デザインセンター、クライアントはイッセイミヤケ。
アートディレクションを三澤遥氏、デザインを宝珍春花氏、プロデュースを曽根良恵氏が担当しています。
大賞の大丸松坂屋百貨店ショッピングバッグと同じく、日本デザインセンターからの受賞です。
ファッション商品では、中身そのものが強いデザイン性を持っています。
パッケージ側が目立ちすぎれば商品と競合しますし、控えすぎればブランド体験が弱くなる。
この距離感は、作品集や画集の装丁にも近いものがあります
表紙を派手にすればいいわけではなく、中身との関係まで含めてデザインする。パッケージとブックデザインには意外と共通する部分があります。
「2WAYギフトパッケージ」は箱を捨てないところまで考える
土産・ギフト・記念品部門の金賞は「SEVEN SEVENTHS 2WAY ギフトパッケージ」。
応募者はホルバルーン、クライアントはA.S.Nひっこしサポートです。
名前にもある通り「2WAY」という考え方を持ったギフトパッケージで、包装を単に商品を届けるまでの使い捨て資材として考えない方向性が見えます。
パッケージは開封された瞬間に役目を終えるものが多いため、「開けたあとに何が残るのか」は近年の紙器設計でも面白いテーマです。
同人誌や自主制作でも応用できます
たとえば作品を送るための箱を、そのまま収納箱として残せるようにする。ノベルティの台紙を飾れる形にする。封筒を切り取ると別のグッズになるよう設計する。
予算との相談にはなりますが、梱包資材まで作品体験へ含められれば、「届いた瞬間」だけでは終わらないデザインを作れます。
403点の入選作から、17名が実物を見て二次審査
日本パッケージデザイン大賞2027には1,098点の応募がありました。
48名による一次審査で403点を選出。その後、協会会員審査員11名、前回大賞受賞者1名、外部特別審査員5名の計17名が二次審査を行っています。
二次審査は画像だけではなく、実物作品を見ながらの討議です。JPDAは一次審査の発表時点から、この方式を案内していました。
パッケージデザインでは、この「実物を見る」が重要です。
モニター上の画像では、紙の厚み、光沢、凹凸、開閉するときの感触、箱を持ったときのサイズ感までは伝わりません。
印刷物をポートフォリオへ掲載するときも同じで、真正面から撮った完成画像だけでは設計の半分しか伝わらないことがあります。
展開した状態、開封途中、手に持った状態、特殊加工へ光が当たった状態まで撮影すると、何を設計したのかが伝わりやすくなります。
入賞作品は全部見ておきたい
大賞だけを見るより、Creator Deskの読者には公式サイトに公開された入賞作品を一通り眺めることを勧めたいです。
食品、酒、化粧品、日用品、雑貨、ギフト、輸送用ケースまで同じアワードに並んでいるため、ジャンルごとに求められるデザインの違いを比較できます。
普段Webしか作らないデザイナーにも参考になるはずです
- 情報量をどこまで削るのか
- ロゴをどの程度見せるのか
- 色を何色使うのか
- 写真を使わず商品を伝えられるのか
媒体は違っても、考えていることは意外と近いです。
パッケージは画面のように情報を無限に追加できないぶん、何を残して何を捨てるかが露骨に見えるデザイン媒体でもあります。
受賞作を見るなら「おしゃれだった」で終わらせず、なぜこの情報量で成立しているのか、なぜこの形なのかまで観察すると、普段の制作へ持ち帰れるものが増えます。
2027年には年鑑にも収録
入賞・入選作品は、2027年刊行予定の『年鑑日本のパッケージデザイン2027』へ収録されます。
贈賞式は2027年2月24日に開催予定です。
今回Webで公開されたのは入賞結果の速報ですが、公式の受賞作品ページでは大賞だけでなく金賞、銀賞、銅賞、特別審査員賞まで作品画像と制作スタッフを確認できます。
パッケージを専門にしていなくても、グラフィックデザインの資料として保存しておきたいページです。
関連リンク
JPDA「日本パッケージデザイン大賞2027 二次審査結果」
日本パッケージデザイン大賞2027 受賞作品一覧
JPDA公式サイト